「空き地を相続したけれど家から離れているので管理が難しい」「自身が高齢なので管理ができない」などの理由で、空き地の活用をあきらめていませんか?
近年では、さまざまな空き地の転用方法があります。これまで固定資産税が持ち出しとなっていた空き地が、有効活用することで収益化できて、地域貢献に繋がるかもしれません。
この記事では空き地の有効活用で考慮すべきポイントや、おすすめの有効活用方法を都会と田舎に分けて紹介しています。また、空き地の具体的な活用事例も紹介しています。
空き地をそのままにしている、有効活用できるなら検討したいと考えている人に役立つ内容になっているのでぜひご覧ください。
空き地を活用において考えたい4つのポイント
空き地活用で考えておきたいポイントを4つ紹介します。
収益性
空き地は更地にしておくよりも、賃貸住宅を立てた方が固定資産税は少なくなる上、入居者からの家賃収入が期待できます。ただし、不動産同士ローンを利用しなければならない可能性があり、ローンの返済を考えると、返済が終わるまでは大きな収益が期待できるとは限りません。
空き地の活用を検討する際は、土地を活用できれば良いというわけではなく、長期的な視点や、さまざまな諸経費も踏まえた収益性も重視することが大切です。
安定性
空き地を活用するとしても、得られる収益が一時的でしかない方法では、せっかく収益が出たとしても固定資産税や維持費などで取り崩され、無くなってしまうかもしれません。空き地の活用は、長期間に渡って需要があり、安定した収益が見込める活用方法を選びましょう。
初期投資
何か収益性のある事業を始めるためには、空き地活用に関わらずほとんどの場合で初期投資が必要になります。しかし、想定外のことが起きたり、一時的に資金繰りが苦しくなったりする可能性もあるので、初期投資は極力抑えてできるものを選びましょう。
節税対策
空き地は更地にしておくよりも賃貸住宅にした方が、支払う固定資産税は少なくて済みます。また相続時に建物、土地ともに評価額が下がるので、節税にもなることがあります。空き地活用は節税対策になり得ることも押さえておきましょう。
空き地を活用するためのおすすめ方法(都会の場合)
都会にある空き地の活用として、おすすめの方法を紹介します。
アパート・マンション経営
アパートやマンションを購入して、入居者に貸し出し、家賃収入を得る空き地の活用方法です。入居者がいる限り家賃収入が得られるので、会社員や公務員の副収入や、公的年金の上乗せ収入が得られます。ただし、入居者が退去すると家賃収入が得られなくなるリスク(空室リスク)や、物件が災害にさらされるリスクもあります。
収益性は、どのような物件を選ぶかにもよりますが、駅や商業施設から近いなど立地のよい物件は、高い収益性が期待できます。
駐車場経営
空き地を整備して、駐車スペースとして貸し出す活用方法です。建物を建てるわけではないので、初期投資はさほどかかりません。主に駐車場経営は、月極で特定の人に貸す場合と、コインパーキングのように不特定多数の利用者に貸す方法があります。
月極は一旦契約をすると、解約されることはあまりないので収益が安定します。またコインパーキングは、不特定多数に貸し出すものの、繁華街やオフィス街などで需要が高く、高い収益性が期待できます。
ただし建物を建てるわけではないので、固定資産税が割高という点がデメリットになります。
介護福祉施設
介護福祉施設を建設して、運用する土地活用方法です。介護福祉事業は、土地だけを貸して事業者にお任せすることも可能です。
介護施設は入居者が通勤・通学などに利用するわけではないので、賃貸住宅ほど立地は良くなくても一定の需要があります。また多少郊外の土地でも、介護福祉施設の業態によっては活かすことが可能です。今後は、少子高齢化にともない、要介護者も増加傾向にあることから、今後も需要の増加が期待できるでしょう。
景気に左右されることはなく、収益も安定しますが、自治体の補助金を活用している介護施設もあり、補助金削減の影響で事業者から賃料削減の申し出を受ける可能性もあります。
収益性が一般的な賃貸アパート・マンションよりも低い傾向があり、立地次第では、介護福祉施設よりも賃貸住宅として利用したほうが良い場合もあります。
商業施設経営
店舗やオフィスを建設して、事業者に貸し出す空き地の活用方法です。入居者が見つかれば、あまり解約をされることはないので、長期間、安定した収入が見込めます。ただし大きな初期投資が必要なケースが多く、交通アクセスの良い立地でない限り、入居者が見つかりにくいというデメリットがあります。
商業施設経営は、立地次第で長期間に渡り、高い収益を見込める空き地活用方法と言えるでしょう。
コインランドリー経営
店舗に洗濯機や乾燥機などを設置し、設備の利用料を得る空き地の活用方法です。自宅に洗濯機を持たずに、コインランドリーでまとめて済ませる需要も増えており、安定した需要が期待できます。また人が住むわけではないので、人的トラブルに巻き込まれにくく、アパートやマンションに比べて、建物の大規模修繕などの機会は少なくて済むなどのメリットもあります。
しかし開始当初は認知度が低いので利用者が少なく、利益が出ないことも想定されます。
自宅ではできない布団を洗濯できる洗濯機のニーズがあるなどの理由から、洗濯機や乾燥機とそれに関連する機械設備の設置が必要になります。これらの多額の初期投資がかかる点はデメリットと言えるでしょう。初期投資がかかり、認知されるまでの収益はなかなか増えませんが、立地次第では賃貸住宅を上回る収益性が期待できる活用方法です。
空き地を活用するためのおすすめ方法(田舎の場合)
次に、田舎にある空き地の活用として、おすすめの方法を紹介します。
太陽光(ソーラー)発電
太陽光発電はソーラーパネルを設置して太陽光を集めて電気を作り、電気を電力会社に売却(売電)して利益を得る土地活用方法です。
電気の需要が無くなることはないため、安定した収益が得られます。一度、太陽光発電設備を設置したら、メンテナンスも基本的には業者に任せることになるので、あまり手間がかかりません。
しかし、天候の影響を受けやすい他、需要と供給のバランスを取るために、出力制御※がかかることがあるので注意が必要です。
※出力制御 需要と供給のバランス維持のために、電力会社が買取を一部ストップすること
太陽光発電による売電価格は、年々低下傾向にあるので、導入の際は設備投資と収益のバランスが取れているか、十分確認をしましょう。
H3:農地・農園
空き地を農地に活用することも可能です。農地として農産物を育てて、販売すれば収益を得ることができます。また、空き地から農地に変更すると、評価額が下がるため、固定資産税が安くなることがあります。
ただし、農地に転用すると資産価値が下がってしまい、売却する際には宅地に比べて不利になる、農地法に沿った状態の農地に整備しておく必要があるといったデメリットがあります。
生産した農産物を販売したり、農地として貸し出すなど、さまざまな方法があり、生産する作物や、立地、利用方法などによって収益性は大きく異なるでしょう。
コンビニ経営
空き地にコンビニエンスストアを建設し、家賃収入を得る方法です。土地の持ち主が建物を建設し、土地と建物を貸す方法や、土地だけを提供して店舗は事業者が建設する方法などがあります。
初期費用が少なくても始められる、一棟貸しなので、管理が容易というメリットがある一方、事業の失敗で撤退するリスクがある、撤退した場合コンビニ以外の用途で使用するには大きな改修費用がかかるため、次の借り手が見つかりにくいなどのデメリットもあります。
収益性という点では、アパートやマンションといった居住用の用途に比べて、高い家賃を設定することができる傾向があります。
トランクルーム
コンテナのような建築物を建設し、収納スペースとして貸し出して賃料を得る空き地活用方法です。ガスや電気、水道などの設備が必要ないので、初期費用が少なくて済む、修繕や管理の手間がほとんどかからない、失敗したときに転用しやすいといったメリットがあります。
一方、認知されるまでに収益化しにくい、盗難、災害、破損などがあると責任を負う必要がある、相続税の節税効果がないなどのデメリットがあります。特に、屋外型のトランクルームは夏場はトランクルーム内が高温多湿になり、収納している物品が破損するリスクがあることも考慮する必要があるでしょう。
立地にもよりますが、屋外型のトランクルームはアパートやマンションよりも収益性は低い傾向があります。
国や自治体も推奨する空き地対策と活用事例
近年、空き地は急増しているものの、空き地の活用を個人に委ねているだけでは、空き地の適正な管理や利用を促しにくい状況です。こうした問題を重くみた国土交通省は、空き地の活用を促進するために「空き地の新たな活用を促進するための枠組み」を採用しました。
これは、空き地の管理・活用に関するビジョンを策定し、行政と民間が連携しあって作りあげるプラットフォームのことです。具体的な取り組み事例を見ていきましょう。
飲食店やコンテナなどの成功事例
北海道帯広市の地元商工会議所のメンバーが発起人となり、駐車場だった土地に水道、ガス電気などのインフラを整備。飲食店の許可を取得し屋台村を展開。年商3億円の売上を記録しました。
佐賀県では、公民で構成される「佐賀市街なか再生会議」主導のもと、借り上げた空き地や駐車場に中古コンテナを使った図書館や芝生広場を設置する社会実験を実施。現在は地元サッカーチームの拠点として活用されています。
農地・農園の成功事例
都市農地の有効活用を行う「株式会社マイファーム」は、耕作放棄地、休耕地、遊休農地などのオーナーに対して、貸し農園や体験農園としての活用を提案しています。農業に触れてみたい、子どもに植物の育成を経験させたいというニーズに応える体験農園を今後も増やす活動をしています。
オープンスペースとしての成功事例
空き地を整備し、公園や遊び場などの憩いのスペースとする他、防災拠点としても活用する取り組みが増えています。
愛知県豊田市が公民一体となり、街中の広場の有効活用を推進する、「あそべるとよたプロジェクト」では、使われていなかった公共空間を人が集まる場所へ生まれ変わらせました。
まとめ
空き地を有効活用するために、収益性・安全性・初期投資・節税対策の4つを考慮にいれることが大切です。今回紹介した空き地活用方法を参考にして、ご自身の所有している空き地の立地や特性を理解したうえで、ご自身にあったものを選びましょう。また、空き地を放置しておくと、周辺に住んでいる人に迷惑をかけたり、地域の環境を悪化させてしまうリスクもあります。
空き地を有効活用することで、収益化できる他、地域の活性化につながるかもしれません。一度空き地活用のプロに相談してみることをおすすめします。