土地活用を始める前に押さえておくべき3つのポイント
土地活用の選択肢を検討する前に、まず押さえておきたい大切なポイントが3つあります。
●土地活用の目的を明確にする
●所有している土地の条件を理解する
●資金計画を念入りに立てる
これらの点をあらかじめ整理しておけば、選択肢をスムーズに絞り込めますし、後々の計画失敗のリスクを減らせます。
土地活用を成功に導くための土台となる部分ですので、一つずつ確認しましょう。
土地活用の目的を明確にする
まずは「何のために土地活用を行うのか」をはっきりさせましょう。
なぜなら、目的によって選ぶべき選択肢は大きく変わってくるからです。
例えば、目的には以下のようなものが考えられます。
固定資産税などの税金負担を軽減したい
長期的に安定した収益を得たい
社会貢献につながる活用がしたい
将来のために資産形成をしたい
収益性を最優先するのか、それとも管理の手間をかけずに税金対策をしたいのか、目的を明確にすれば、検討すべき土地活用の方向性が決まります。
所有している土地の条件を理解する
次に、所有している土地がどのような条件をもっているのかを正確に把握しましょう。土地の所在地や広さ、周辺のニーズはもちろんですが、特に重要なのが法律上の制限です。
土地には「都市計画法」によって用途地域が定められており、建てられる建物の種類や規模に制限があります。
例えば「市街化調整区域」では、原則として建物の建築が認められません。
土地の条件を理解しないまま計画を進めると、後で「建てたかったものが建てられない」事態に陥る可能性があります。
資金計画を念入りに立てる
土地活用には、当然ながら資金計画が不可欠です。自己資金はいくら用意できるのか、金融機関から融資を受けるのかなどを具体的に検討しましょう。
大きな収益を狙うアパート経営などでは多額の初期費用が必要となり、その分リスクも高まります。
一方で、少ないリスクで始めたい場合は、初期費用を抑えられる駐車場経営などが選択肢に入ります。リスクの許容度合いを判断し、無理のない資金計画を立てましょう。
土地活用におすすめの選択肢9選
土地活用の基本的なポイントを押さえたうえで、具体的な選択肢を見ていきましょう。
ここでは、代表的な9つの土地活用方法を紹介します。それぞれの特徴を理解し、ご自身の目的や土地の条件に合った方法を見つけてください。
アパート・マンション経営
アパートやマンションを建設し、入居者から家賃収入を得る方法は、土地活用の中でも代表的な選択肢です。
人口の多い都市部や駅に近いといった立地の良い土地であれば、高い収益性が期待できます。長期的に安定した収入が見込めるほか、固定資産税や相続税の節税効果も高いのがメリットです。
ただし、建設には多額の初期費用が必要となり、空室リスクや建物の老朽化による修繕費の発生も考慮しなければなりません。
戸建て賃貸住宅経営
土地に戸建て住宅を建てて、賃貸として貸し出す方法です。アパートやマンション経営よりも初期費用を抑えやすく、特にファミリー層からの安定した需要が見込めます。
入居者が決まれば長期間住んでもらえる傾向があり、安定した収益につながります。アパートなどと比べて、競合が少ない点も魅力のひとつです。
ただし、一度建物が建つと他の用途への転用が難しくなる点には注意が必要です。
駐車場経営
駐車場経営は、土地を整備して駐車場として貸し出す方法で、初期費用をかなり抑えられるのが大きなメリットです。月極駐車場と、時間貸しのコインパーキングの2種類があります。
狭い土地や形のいびつな土地でも始めやすく、管理の手間も比較的少ないです。
また、将来的に他の方法へ転用しやすいのも特徴です。自動販売機を併設すれば、駐車場の収益に加えて飲料の売上も期待できます。
トランクルーム経営
トランクルーム経営は、所有する土地にコンテナなどを設置し、収納スペースとして貸し出す方法です。アパート経営などに比べて初期費用が安く、さまざまな広さや形の土地に対応可能です。
住宅街や商業地の近くなど、収納ニーズのある場所であれば安定した収益が期待できます。管理の手間も少なく、比較的始めやすい土地活用です。
住宅地としての条件が悪い土地でも、事業として成立する可能性があります。
コインランドリー経営
建物を建ててコインランドリーを経営する方法です。単身者や共働き世帯の多い地域、アパートやマンションが密集しているエリアでは安定した需要が見込めます。
一度設備を導入すれば、基本的には無人での運営が可能です。清掃や集金、機器のメンテナンスといった管理は必要ですが、日々の手間は比較的少ないです。
コンビニエンスストアの跡地のような、ある程度の広さがある土地に向いています。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
高齢者向けの賃貸住宅を建設・運営する方法です。
サ高住は、安否確認や生活相談サービスが付いたバリアフリー対応の住宅で、今後さらに需要が高まると予想されています。
以下のグラフは、高齢者向け住まい・施設の利用者数とサ高住の登録状況を示したものです。
さらに、国からの建設費補助や税制優遇といった支援制度もあり、社会貢献と安定収益の両立が目指せます。
【出典】国土交通省「情報提供 サービス付き高齢者向け住宅の現状等」
以下は締切が過ぎていますが、新しく再スタートする可能性もあるので、サ高住として土地活用を進めたい場合はこまめにチェックしましょう。
【出典】国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅を整備する事業者を支援します!~「令和5年度 サービス付き高齢者向け住宅整備事業」の募集を開始~」
また、国が民間企業や医療法人、社会福祉法人などを対象に、サ高住の供給促進のため、建設・改修費に対して直接補助を行ったり、一定期間において、固定資産税や不動産取得税を軽減したりする支援措置も実施されています。
【出典】スマートウェルネス住宅等推進事業「サービス付き高齢者向け住宅の登録制度の概要」
福祉施設経営
所有する土地にグループホームやデイサービスセンターなどの福祉施設を建設し、福祉事業者に貸し出す方法です。
土地オーナーが建物を建設して貸す場合と、土地だけを貸して事業者が建物を建てる場合があります。高齢化の進展に伴い、福祉施設の需要は全国的に高まっています。
厚生労働省の調査によると、多くの施設で在所率が高い状況が続いており、安定した需要が見込まれる事業です。
長期的な契約を結ぶことが一般的で、社会貢献にもつながる安定した土地活用といえます。
【出典】厚生労働省「令和5年社会福祉施設等調査の概況」
土地を貸し出す
建物を建てずに、土地そのものを事業者や個人に貸し出して地代を得る方法です。一般定期借地権や事業用定期借地権などの契約を結べば、契約期間が終了すると更地の状態で土地が返還されます。
土地オーナーは自己投資する必要がなく、管理の手間もかかりません。収益性は他の方法に比べて低くなりますが、リスクを抑えて収入を得たい方に向いています。
土地を手放したくないけれど、自分で運営するのは難しい場合に有効な選択肢です。
土地を売却する
活用が難しい土地や、管理が負担になっている土地の場合は、売却も有力な選択肢のひとつです。土地を売却すれば、まとまった現金が一度に手に入ります。
また、固定資産税の支払いや、土地を管理する手間からも解放されます。
ただし、一度手放すと二度と手に入らない資産である点や、買い手が見つからない可能性がある点には注意が必要です。
まずは不動産会社に査定を依頼し、所有する土地の価値を把握することから始めましょう。
土地の種類・立地別おすすめの選択肢
最適な土地活用の選択肢は、土地の状況によって大きく異なります。
ここでは「都市部や駅近」「地方や郊外」「狭小地・変形地」の3つに分けて、それぞれのおすすめの活用方法を紹介します。
ご自身の土地がどれにあてはまるか考えながら、参考にしてください。
都市部や駅近の土地
人の往来が多く、賃貸需要が高い都市部や駅の近くの土地は、収益性を重視した活用が向いています。
●アパート・マンション経営
●戸建て賃貸住宅経営
●コインパーキング経営
●コインランドリー経営
これらの方法は初期投資が大きいものもありますが、高い稼働率が期待でき、大きなリターンが見込めます。
特に、単身者や学生が多いエリアであれば、ワンルームマンションやアパートの需要が非常に高いです。
地方や郊外の土地
地方や郊外の土地は、都市部に比べて地価が安く、広い面積を確保しやすいのが特徴です。
広い敷地を活かした活用方法が選択肢となります。
●サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
●福祉施設経営
●戸建て賃貸住宅経営
これらの施設は、広い駐車場やゆとりのある建物配置が求められるため、郊外の土地に適しています。
また、幹線道路沿いであれば、ロードサイド店舗を出店したい事業者に土地を貸し出す方法も有効です。
狭小地・変形地
住宅を建てるには狭すぎたり、土地の形がいびつだったりする場合でも、諦める必要はありません。
省スペースで始められる活用方法が数多くあります。
●駐車場経営(数台分)
●自動販売機の設置
●トランクルーム経営
これらの方法は、大規模な工事を必要とせず、少ない初期費用で始められます。
「こんな土地では何もできない」と思い込まず、柔軟な発想で選択肢を探してみましょう。
まとめ:土地活用の選択肢でお悩みの方へ
土地活用には、ここで紹介した以外にもさまざまな選択肢があります。
しかし、数多くの選択肢の中から、ご自身の目的や土地の状況に合った最適なプランを見つけ出すのは簡単ではありません。
「どの選択肢が自分の土地に合っているのかわからない」
「専門家の視点から、具体的な提案をしてほしい」
このようにお悩みでしたら、ぜひ一度、土地活用の専門家にご相談ください。
お客様一人ひとりのご要望を丁寧にヒアリングし、土地の法的な調査から周辺のニーズ分析、事業計画書を用いた収支シミュレーションまで、専門的な知見をもとに一貫してサポートします。
土地活用はその地域や条例に詳しい専門家からの意見がとても重要です。
まずは気軽に相談してみましょう。