土地活用を考えている場合はどこに相談すべき?
土地活用に関する相談先は、不動産会社や建設会社、銀行、税理士などさまざまです。それぞれに得意な分野や専門領域があり、相談できる内容が異なります。
例えば、アパート経営を始めたいのに、法律の専門家である弁護士に「どんな間取りが良いか」と相談しても、的確な答えは得られません。
土地活用を成功させるためには、ご自身の目的や解決したい悩みに合わせて、どこに相談するか選ぶのが重要です。
まずは、どのような相談先があるのか全体像を把握し、それぞれの特徴を理解しましょう。
土地活用でおすすめの相談先
土地活用の計画から実行まで、全体的に相談できるパートナー候補をご紹介します。それぞれの強みや得意なジャンルを理解し、ご自身の計画に合った相談先を見つけましょう。
不動産会社
不動産会社は、土地や建物の売買、賃貸、仲介、管理など不動産全般の専門家です。地域の情報に精通しており、市場のニーズに基づいた幅広い土地活用方法を提案してくれます。
アパートやマンション経営、駐車場経営、土地の売却や賃貸など、さまざまな選択肢の中から、その土地に最も合った活用法を一緒に考えてくれるのが強みです。
土地活用の方向性がまだ定まっていない段階での相談に適しています。
建設会社
建設会社は、その名のとおり建設に関するプロフェッショナルです。アパートや商業施設など、建物の建築を伴う土地活用を検討している場合に頼りになる存在です。
設計から施工まで一貫して任せられるため、品質の高い建物を建てられます。
特に、大規模なマンションや複雑な構造の商業施設などを計画している場合は、豊富な実績と高い技術力を持つ建設会社への相談がおすすめです。
デベロッパー
デベロッパーは、大規模な宅地造成やリゾート開発、市街地の再開発など、大規模な開発事業を手がける不動産開発業者です。
単に建物を建てるだけでなく、街づくりという視点から土地の価値を最大限に高める提案をしてくれます。
所有している土地が広大であったり、周辺地域を含めた開発を考えていたりする場合に、心強いパートナーとなるでしょう。
工務店
工務店は、建設会社と同様に建物を建てる専門家ですが、より地域に密着した活動をしているのが特徴です。主に戸建て住宅や小規模なアパートなどを手がけています。
地元の事情に詳しく、小回りが利くため、施主の細かい要望にも柔軟に対応してくれます。
設計の自由度が高い建築を希望する場合や、地域に根ざしたアパート経営などを考えている場合に適した相談先です。
専門会社
特定の土地活用方法に特化した専門会社も存在します。
例えば、駐車場経営ならコインパーキングの専門会社、トランクルーム経営ならトランクルームの専門会社といった具合です。
その分野における豊富なノウハウや実績を持っているため、より専門的で収益性の高い事業計画を期待できます。
やりたい土地活用の方法が具体的に決まっている場合は、専門会社に相談するのも有効な手段です。
土地活用での法律面の相談先
土地活用には、権利関係や登記など、法律に関する問題がつきものです。トラブルを未然に防ぎ、スムーズに手続きを進めるために、法律の専門家にも相談しましょう。
弁護士
弁護士は、法律問題全般の専門家です。土地の相続で親族間にもめている、借地人との間でトラブルが発生しているなど、法的な紛争を抱えている場合に相談すべき相手です。
契約書のチェックや交渉代理なども依頼でき、法的なリスクから守ってくれます。権利関係で少しでも不安がある場合は、早めの相談をおすすめします。
司法書士
司法書士は、不動産登記の専門家です。土地を売買したり、建物を新築したりした際には、所有権移転などの手続きが必要です。
これらの複雑な登記手続きを代行してくれます。相続が発生したときの相続登記なども司法書士の専門分野です。
土地活用での資金・税金面の相談先
土地活用には多額の資金が必要になる場合が多く、税金の問題も避けては通れません。資金計画や税金対策について相談できる専門家をご紹介します。
銀行
銀行などの金融機関は、資金調達の相談先です。アパートの建築資金や事業の運転資金など、土地活用に必要な融資の相談に乗ってくれます。
事業計画の実現性や収益性を厳しく審査されるため、融資の相談をすることは、ご自身の計画を客観的に見直す良い機会にもなります。
メインバンクとして取引のある銀行に、まずは相談してみるとよいでしょう。
税理士
税理士は、税金の専門家です。土地活用によって不動産所得が発生すると、確定申告が必要になります。
また、固定資産税や都市計画税、相続税など、土地にはさまざまな税金がかかります。
税理士に相談すれば、効果的な節税対策や正確な税務申告についてアドバイスをもらうことが可能です。長期的な視点で資産を守るために、頼りになるパートナーです。
FP(ファイナンシャルプランナー)
FP(ファイナンシャルプランナー)は、個人の資産設計の専門家です。土地活用を、ご自身のライフプラン全体の中でどのように位置づけるかを一緒に考えてくれます。
収支計画の作成や、教育資金、老後資金なども含めた総合的な資産運用の視点からアドバイスをくれるのが特徴です。目先の利益だけでなく、将来を見据えた土地活用を計画する際に相談するとよいでしょう。
土地活用のアイデア別相談先
ここでは、具体的な土地活用の方法ごとに、どこに相談するのが最適か解説します。ご自身が検討しているプランに合わせて、相談先を選んでみましょう。
賃貸住宅経営
マンションやアパートなどの賃貸住宅経営は、土地活用の代表的な方法です。小〜中規模のアパートであれば地元の工務店、大規模なマンションであれば建設会社やデベロッパーが主な相談先となります。
また、不動産会社に相談すれば、地域の賃貸需要や家賃相場に基づいた事業計画の提案から、入居者募集、管理業務まで一括で任せられます。
駐車場経営
駐車場経営には、月極駐車場とコインパーキングの2種類があります。
月極駐車場として貸し出す場合は、利用者の募集や契約、賃料の集金などを不動産会社に依頼するのが一般的です。
一方、コインパーキングを経営する場合は、精算機やロック板などの専門的な設備が必要になるため、コインパーキング経営を専門に扱う会社に相談するのがおすすめです。
太陽光発電
郊外の広い土地などでは、太陽光発電も有効な活用方法です。太陽光発電システムの設置は、専門の施工会社や、太陽光発電事業を手がける不動産会社に相談します。
業者によって取り扱うメーカーや価格、保証内容が異なるため、複数の会社から見積もりを取り、比較検討しましょう。
トランクルーム
トランクルーム経営は、比較的少ない初期投資で始められる土地活用として注目されています。コンテナを設置するだけで始められる手軽さが魅力です。
この場合も、トランクルーム事業を専門に手がける会社に相談するのが近道です。市場調査から運営・管理まで、専門的なノウハウを活かしたサポートが期待できます。
高齢者施設
高齢化が進む現代において、サービス付き高齢者向け住宅やグループホームなどの高齢者施設の需要は高まっています。
高齢者施設の建築には、バリアフリー設計や法的な設置基準など、専門的な知識が不可欠です。
そのため、高齢者施設の建築実績が豊富な建設会社や工務店に相談するのが最も確実です。過去の実績を確認し、信頼できる会社を選びましょう。
土地貸し・売却
土地そのものを貸したり(事業用定期借地など)、売却したりするのもひとつの選択肢です。
これらの場合は、不動産会社が主な相談先です。地域の市場動向や土地の評価額を正確に査定し、貸す場合と売る場合のメリット・デメリットを比較しながら、最適な方法を提案してくれます。
土地活用の際によくある4つの失敗例
土地活用を成功させるためには、先人たちの失敗から学ぶことも大切です。
ここでは、土地活用で陥りがちな4つの失敗例をご紹介します。同じ轍を踏まないよう、しっかりと確認しておきましょう。
利回りだけを追い求めてしまった
土地活用を検討する際、利回りの高さは魅力的に映ります。
しかし、提示された利回りの数字だけを信じて計画を進めるのは危険です。
高い利回りが提示されている場合、その裏には高い空室リスクや将来的な家賃下落のリスクが隠れている可能性があります。
目先の数字だけでなく、長期的に安定した収益が見込めるか、リスクとのバランスは取れているかなどを冷静に判断する必要があります。
節税だけ考えてしまった
「土地活用は節税になる」と聞き、節税効果ばかりを重視して計画を立ててしまうケースも失敗につながりやすいです。
確かに、アパートなどを建てると固定資産税や相続税の評価額が下がるなどの節税効果はあります。
しかし、節税額以上に収益性が悪化してしまっては本末転倒です。節税はあくまで副次的な効果と捉え、事業としての収益性を第一に考えるべきです。
土地活用の方法を絞りすぎている
最初から「アパート経営しかやらない」とひとつの方法に固執してしまうと、その土地の可能性を狭めてしまう恐れがあります。
その土地の立地や形状、周辺環境によっては、アパート経営よりも駐車場や商業施設の方が適しているかもしれません。
視野を狭めず、さまざまな活用方法を比較検討し、その土地のポテンシャルを最大限に引き出せるプランを選ぶのが成功への鍵です。
周辺のニーズ調査を怠った
土地活用の成功は、その地域にどれだけのニーズがあるかに大きく左右されます。
例えば、学生のいないエリアに単身者向けアパートを建てても入居者は見込めません。周辺にどのような人が住んでいて、どのような施設が求められているのか、綿密な市場調査が不可欠です。
専門家の意見も参考にしながら、客観的なデータに基づいてニーズを把握することが重要です。
土地活用の相談の際に押さえておくべき3つのポイント
土地活用の成功は、その地域にどれだけのニーズがあるかに大きく左右されます。
例えば、学生のいないエリアに単身者向けアパートを建てても入居者は見込めません。周辺にどのような人が住んでいて、どのような施設が求められているのか、綿密な市場調査が不可欠です。
専門家の意見も参考にしながら、客観的なデータに基づいてニーズを把握することが重要です。
土地について説明できるようにしておく
相談に行く前に、ご自身の土地に関する情報をできるだけ詳しく把握しておきましょう。
◯土地の所在地(住所)
◯土地の面積や形状
◯道路との接道状況
◯現在の利用状況(更地、古家ありなど)
これらの情報が曖昧なままでは、相談相手も具体的な提案ができません。土地の長所だけでなく、短所(変形地、日当たりが悪いなど)も正直に伝えれば、より現実的なアドバイスがもらえます。
必要になる資料を準備しておく
口頭での説明に加えて、客観的な資料があると、相談はさらにスムーズに進みます。最低限、以下の資料は準備しておくとよいでしょう。
資料の種類 | 主な内容 | 取得場所 |
登記簿謄本(登記事項証明書) | 土地の所有者、面積、権利関係など | 法務局 |
地積測量図 | 土地の正確な形状、面積 | 法務局 |
固定資産税納付書 | 固定資産税評価額、税額 | 市区町村(毎年4〜6月頃自宅宛に郵送) |
これらの資料があれば、専門家は土地の正確な情報を把握でき、より具体的で精度の高いプランニングが可能になります。
土地活用の目的を明確にしておく
なぜ土地活用をしたいのか、目的を自分の中ではっきりさせておくのが何よりも大切です。目的によって、選ぶべき活用方法は大きく変わってきます。
◯固定資産税などの維持費をまかないたい
◯とにかく節税をしたい
◯給与以外の安定した収入源がほしい
◯将来的に別の用途に転用しやすい方法がいい
◯地域社会に貢献したい
このように目的を明確にしておくと、相談先からの提案がご自身の希望とずれるのを防ぎ、納得のいく土地活用につながります。
土地活用について相談する際の比較ポイント
複数の相談先候補が見つかったら、次にどこに相談するべきか見極める必要があります。ここでは、相談先を比較検討する際の4つのポイントをご紹介します。
検討している土地活用方法の実績があるか
もし、ある程度やりたい土地活用の方法が決まっているのであれば、その分野での実績が豊富な会社を選ぶのが鉄則です。
会社のホームページで施工事例を確認したり、直接問い合わせて実績を聞いたりしてみましょう。
特に、高齢者施設や医療施設などは、専門的な知識やノウハウが求められるため、実績の有無が成功を大きく左右します。
無料相談できるか
相談先によっては、相談そのものが有料の場合があります。
特に、弁護士や税理士などの士業は、相談が主な業務であるため、時間単位で相談料が発生するのが一般的です。
一方で、不動産会社や建設会社は、具体的なプラン作成や契約に至るまでは無料で相談に応じてくれることが多いです。初回の相談が無料かどうかを事前に確認し、複数の会社から話を聞いてみるのをおすすめします。
相談先の口コミ評価
その会社を実際に利用した人の声は、非常に参考になります。会社のホームページに掲載されている「お客様の声」だけでなく、Googleマップの口コミや比較サイトなど、第三者の評価も確認してみましょう。
プラン検討中の対応だけでなく、契約後や経営開始後のフォロー体制など、実際に付き合ってみないとわからない部分についての口コミがあれば、より実情に近い情報を得られます。
担当者の対応や雰囲気は良いか
土地活用は、一度始めたら10年、20年と続く長い付き合いになります。そのため、会社の信頼性はもちろん、担当者との相性も非常に重要です。
◯こちらの話を親身になって聞いてくれるか
◯質問に対して丁寧でわかりやすい説明をしてくれるか
◯メールや電話の返信は迅速か
◯無理に契約を迫るような強引な営業をしてこないか
このようなポイントを確認し、信頼して長く付き合っていけるパートナーかどうかを見極めましょう。
まとめ:土地活用のお悩みはまずは専門家へご相談を!
今回の記事では、土地活用の際のおすすめ相談先や、相談前のポイントなどを解説しました。
土地活用を成功させるには、まずご自身の目的を明確にし、それに合った専門家を選ぶのが大切です。不動産会社、建設会社、税理士など、相談先は多岐にわたり、それぞれに得意分野があります。
一つの窓口だけでなく、複数の専門家から話を聞き、ご自身の土地の可能性を客観的に判断してくれるパートナーを見つけるのが、土地活用を成功させるために重要となります。
まずは気軽に無料相談などを活用し、情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。