土地活用業界とは?
土地活用業界とは、土地の所有者が持つ「土地を有効に使いたい」というニーズに対して、さまざまな解決策を提案・実行する事業者で構成される業界のことを指します。
多くの方がイメージするのは、ハウスメーカーが地主に対してアパートや賃貸マンションの建設を提案するような事業かもしれません。
しかし、実際はそれだけではなく、地域に密着した工務店や、駐車場経営・コインランドリー経営といった特定の事業を専門に扱う業者もいます。
さらに、私たち株式会社タカオのように、土地活用の相談から事業者様までの仲介を行う会社も存在します。
このように、土地活用業界はさまざまな専門性をもった事業者が集まり、成り立っているのです。
土地活用が業界内で注目されている理由
近年、土地活用は業界の中でも特に注目度が高まっていますが、その背景には、日本が抱える社会的な課題や、新しいライフスタイルの登場が深く関わっています。
ここでは、土地活用が注目される主な理由を4つ解説します。
少子高齢化が進んでいる
日本の急速な少子高齢化は、土地活用のあり方に大きな影響を与えています。総務省統計局のデータによると、日本の総人口は減少を続けており、その中でも65歳以上の高齢者人口の割合は増加する一方です。
2022年9月推計で、前年に比べて82万人の人口減少が起きている一方で、65歳以上の高齢者の人口は前年比で6万人増加しています。
【出典】総務省統計局「1.高齢者の人口」
さらに、団塊の世代が65歳、75歳に到達することで日本の労働力不足や社会保障費の増大などが発生する2025年(2035年)問題も社会問題となるなど、超高齢化社会になっているのです。
このような人口構造の変化により、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)やデイサービスセンター、グループホームといった高齢者向け施設の需要が全国的に高まっています。
使われていない土地をこれらの施設として活用することは、社会的なニーズに応えるとともに、長期的に安定した収益源となるため、多くの事業者や地主から注目されているのです。
相続問題を抱えている人の増加
高齢化に伴い、親から子へ資産が引き継がれる「相続」の件数も増加しています。特に、土地を相続したものの、遠方に住んでいたり使い道がなかったりして、管理や固定資産税の負担に悩むケースは少なくありません。
土地活用は、そのような相続問題の有効な解決策となります。
例えば、更地のまま土地を所有するよりも、アパートや駐車場として活用し「貸付事業用宅地等」と認められれば、相続税評価額を引き下げられる「小規模宅地等の特例」が適用される可能性があります。
具体的には、200㎡までの土地について、相続税評価額を50%減額可能です。
【出典】国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
さらに、アパートを建てた場合は、土地の評価が「貸家建付地」として計算されるため、二重の節税効果が期待できます。
こうした税制上のメリットがあるため、節税対策として土地活用を検討する人が増えているのです。
新しいビジネスモデルや働き方が登場した
近頃は、シェアリングエコノミーのような新しいビジネスモデルや、テレワークといった多様な働き方が普及しました。
シェアリングエコノミーとは、個人や企業がもつ資産(モノ、場所、スキルなど)を、他の人と共有・交換して利用する仕組みです。
土地活用においては、自宅の空いている駐車スペースを時間貸ししたり、使っていない土地を家庭菜園として貸し出したりする例が挙げられます。
また、働き方の多様化により、都心だけでなく郊外にもコワーキングスペースやシェアオフィスの需要が生まれました。
こうした新しいニーズに応える形で、空き家や空き店舗を改修して活用するビジネスも登場しています。
空き家問題が深刻化している
少子高齢化や人口の都市部への集中により、全国的に空き家が増加し、深刻な社会問題となっています。
国土交通省の調査では、日本の空き家の総数は年々増加傾向にあり、1993年の448万戸から2013年には820万戸へと、20年間で約1.8倍に増加しました。
今後も空き家は増え続けると予測されており、放置された空き家は、景観の悪化や倒壊の危険、防犯上の問題などを引き起こします。
そのため、国や自治体も空き家の活用を積極的に推進しています。具体的には、空き家の処分や活用に関する相談窓口を設置したり、自治体によって用途規制や前面道路の幅員規制の合理化したりして、空き家活用でネックになっている要因の解消を図っているのです。
【出典】国土交通省「空き家対策の現状と課題等について」
土地活用で得られる4つのメリット
土地活用を行うと、単に土地を寝かせておくだけでは得られない、多くのメリットがあります。具体的には、安定した収入の確保や税金対策、さらには地域への貢献までさまざまです。
ここでは、土地活用によって得られる代表的な4つのメリットを解説します。
新たな収入源の確保
土地活用の最大のメリットは、賃料収入や事業収入といった新たな収入源を確保できる点です。アパート経営や駐車場経営など、その土地に合った方法で活用すれば、毎月安定した収益が期待できます。
給与所得や年金以外の収入の柱ができることで、経済的な安定はもちろん、精神的なゆとりにもつながります。税金や管理費用などの維持費ばかりがかかっていた「負動産」から「資産」へと生まれ変わるのです。
税金対策
土地は所有しているだけで、毎年固定資産税や都市計画税がかかりますが、土地活用を行えば、節税につながります。
例えば、更地に住宅を建てると「住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が最大で6分の1にまで減額可能です。
また、相続税対策としても土地活用は非常に有効です。更地のまま相続するのに比べ、土地の上に賃貸アパートなどを建てると、その土地と建物は相続税を計算する際の評価額が大きく下がります。
具体的には、まず土地の評価額が「貸家建付地」として扱われ、更地の場合に比べて評価額が減額されます。
さらに、その評価額に対して「小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地等)」が適用されると、200㎡までの部分について評価額を50%軽減することが可能です。
【出典】
国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
国税庁「No.4614 貸家建付地の評価」
このように、適切な活用は将来の相続税負担を大幅に減らすことにもつながります。
地域貢献
土地活用は、個人の利益になるだけでなく、地域社会への貢献にもつながります。
例えば、地域に不足している駐車場やコインランドリーを経営すれば、住民の利便性が向上します。高齢者が多い地域で福祉施設を建てれば、地域の介護問題を支援することが可能です。
また、放置されて荒れた土地や空き家を整備して活用することは、街の景観を美しく保ち、地域の活性化にも貢献します。
資産価値の維持
何もせず放置された土地は、草木が生い茂り、不法投棄の場所になるなどして、価値が下がってしまう恐れがあります。
一方で、アパートを建てたり、駐車場として整備したりするなど、適切な管理と投資を行えば、土地の資産価値を維持、あるいは向上させられます。
将来的に土地を売却することになった場合でも、活用されている土地のほうが高く評価されるでしょう。大切な資産を次の世代へ良い形で引き継ぐためにも、土地活用は重要な選択肢となります。
土地活用業界を支えている事業者をタイプ別に解説
土地活用を始める際には、どこに相談すればよいかわからない方もいるでしょう。
土地活用業界には、それぞれ得意分野の異なる事業者が存在します。ここでは、代表的な4つの事業者タイプと特徴について解説します。
ハウスメーカー
テレビCMでもおなじみの大手ハウスメーカーは、土地活用業界の代表的な存在です。主にアパートやマンション、戸建て賃貸住宅の建築を得意としています。
全国規模で事業を展開しており、ブランド力や豊富な実績による安心感が大きな特徴です。土地の調査から設計・施工、完成後の管理や入居者募集までを一貫して任せられる「一括借り上げ(サブリース)」などのサービスも提供しています。
資金力があり、大規模な開発を検討している場合に頼りになる存在です。
工務店
工務店は、特定の地域に密着して活動している建築会社です。ハウスメーカーに比べて規模は小さいですが、その分、地域の特性やニーズを深く理解しています。
設計の自由度が高く、地主の細かい要望にも柔軟に対応してくれるのが強みです。また、広告宣伝費などが少ないため、ハウスメーカーよりも建築コストを抑えられる傾向にあります。地域での評判や、過去の施工事例などを参考に、信頼できる工務店を見つけることが重要です。
特定の事業に特化した専門業者
駐車場経営やトランクルーム経営、コインランドリー経営など、特定の土地活用ビジネスを専門に行う事業者もいます。
これらの専門業者は、その事業分野における豊富なノウハウをもっているのが最大の強みです。具体的には、市場調査や収益シミュレーション、必要な設備や運営方法など、事業を成功させるための知識と経験を持っています。
「駐車場経営を始めたい」「コインランドリー経営を始めたい」などのように、やりたい活用方法が明確に決まっている場合に、非常に頼りになります。
地主と事業者をつなぐサポート企業
特定の建築や事業に偏らず、地主の相談役として中立的な立場から土地活用を支援する企業も存在します。
このタイプの事業者の強みは、まず地主様の目的や土地の状況を丁寧にヒアリングし、そもそも活用すべきか、売却すべきかといった根本的な部分から一緒に考えられる点にあります。
そのうえで、土地の価値を最大化できる最適な活用プランを立案し、その計画実行に最もふさわしい事業者とのマッチングをサポートします。多様な選択肢の中から、本当に自分に合った活用法を見つけたい場合に最適な相談相手です。
土地活用に失敗しないために押さえておくべき3つのポイント
土地活用は安定した収益源の構築や将来的な資産形成など、大きな可能性を秘めている一方で、計画を誤ると失敗に終わるリスクもあります。
大切な資産で失敗しないために、必ず押さえておきたい3つのポイントを解説します。これらの点をしっかり意識して、慎重に計画を進めましょう。
土地活用の目的を明確にする
まずは、土地活用の目的を明確にしましょう。「なぜ土地活用をするのか」が曖昧なままでは、最適な選択はできません。
例えば「税金負担から解放されたい」のであれば、リスクをとって多額の投資をするよりも、土地の売却や管理の手間がかからない土地信託などが適している可能性があります。
目的が明確であれば、事業者への相談も具体的になり、より的確なアドバイスが得られます。
初期費用やリスクも考慮しておく
土地活用の方法によっては、数千万円単位の初期費用がかかる場合があります。
特にアパートやマンションの建設では、建築費用のための多額のローンを組むのが一般的です。
その際に、無理のない返済計画になっているか、空室が増えた際のリスクを想定した収支計画を立てているかが重要になります。
目先の収益性だけでなく、長期的な視点で費用とリスクを冷静に分析し、慎重に判断しましょう。
土地活用業界の専門家に相談する
土地活用には、建築や不動産、税務、法律など、さまざまな専門知識が求められます。自分ひとりの知識で全てを判断するのは非常に困難ですし、リスクも伴います。
信頼できる専門家に相談すれば、自分では気づかなかったような法規制のリスクや、その土地がもつ潜在的な価値についてアドバイスをもらうことが可能です。専門家と一口にいっても、その立場はさまざまです。
特定の活用方法に偏らず、中立的な立場から土地活用の専門家として最適なプランを提案するパートナーもいます。ご自身の目的に合わせて、信頼できる相談先を探しましょう。
初めての土地活用でご不安な方は専門家にご相談ください
土地活用業界の動向や事業者の種類について解説してきましたが、それでも「自分の場合はどうすればいいのか」と、不安や疑問が残る方もいるでしょう。
土地活用は、地主様の人生や資産計画に大きな影響を与える重要な決断だからこそ、信頼できるパートナー選びが何よりも重要です。
例えば立地条件、法的規制、市場動向、資金計画など多くの要素を総合的に検討する必要があり、地主様の人生や資産計画に大きな影響を与える重要な決断だからこそ、一人で判断するには複雑すぎる場合も少なくありません。
だからこそ、豊富な経験と専門知識を持ち、お客様の立場に立って親身にサポートしてくれる信頼できるパートナー選びが何よりも重要です。
まずは気軽に専門家にご相談いただき、安心できる土地活用の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。