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介護施設の建物の特徴とは?基準や構造を完全解説!

介護施設の建物の特徴とは?基準や構造を完全解説!

介護施設の建物は、高齢者や介護が必要な人々が快適に過ごせる環境を提供するために設計されています。

介護施設は建築や設備の基準が厳しく設定され、建築する施設によって適している構造体が異なるため、それぞれの違いを把握することが重要です。

今回は介護事業者へ向けて、特徴や基準だけでなく構造比較や快適な建物の特徴について解説します。介護施設を建築する際に役立つ内容になりますので、ぜひ最後までご覧ください。

介護施設の特徴

介護施設の特徴イメージ

介護施設の建物は入居者のニーズや要望に合わせて設計されています。

施設によって基準が異なるため、しっかりと内容を把握しておきましょう。

建物の立地

介護施設は繁華街から少し離れた、落ち着いた環境が理想的です。

車両での送迎も多くなるため、人通りや車通りが多い場所だと送迎の妨げになり、事故に遭う可能性が高くなります。

公共交通機関でのアクセスが難しい場合は、入居者の家族や利用者、スタッフが車を私用するケースが多くなるので駐車場が必要です。

介護施設の種類によって必要な駐車台数も異なり、立地や土地の広さによって建築する建物も変ります。

建物の規模

介護施設は全ての建物に適用される建築基準法などの法律に加え、設備基準も細かく定められています。

グループホームの場合は、個室の広さが床面積で7.43㎡以上が必要になり、1ユニット9人×2(計18人定員)の場合は、建物の面積で100坪~200坪程度が必要なケースが多いです。

建築する施設の種類ごとに基準が異なるため、事前に必要な建物の規模を建築会社に確認しましょう。

建物の設備

介護施設の建物の設備は施設の種類により異なるため、違いを把握しておく必要があります。

例えば介護付き有料老人ホームであれば下記の設備が必要です。

有料老人ホームに必要な設備

  • トイレ
  • 機能訓練室
  • 食堂
  • 浴室・脱衣室
  • 洗面台
  • 洗濯室
  • 汚物処理室
  • 宿直室
  • 健康・生きがい施設
  • 一般居室または介護居室(ナースコール完備)
  • エレベーター

上記の設備は、入居者の快適性と安全性を追求するために整備されており、入居者が安心して暮らすために必要です。

介護施設の種類

介護施設の種類

高齢化社会の進行に伴い、介護が必要な人のニーズに応じたサポートを提供するために、さまざまな介護施設が存在します。

介護施設の種類

  • 有料老人ホーム
  • 特別養護老人ホーム
  • サービス付き高齢者住宅
  • グループホーム

それぞれ詳しく解説します。

有料老人ホーム

有料老人ホームとは、高齢者が暮らしやすいように配慮された「住まい」のことです。 

利用者様が快適に暮らせるよう、民間の企業がサービスを提供しています。

「住宅型有料老人ホーム」「介護付有料老人ホーム」「健康型有料老人ホーム」の3種類があり、入浴や排泄、食事の提供、介護、健康管理を行う必要があります。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームは「特養」とも呼ばれ、常時介護が必要で在宅での生活が困難な高齢者に対して、生活全般の介護を提供する施設です。

入居対象者は65歳以上かつ要介護3以上の高齢者で、日常生活の介助を行うとともに、健康管理やリハビリが実施されています。

サービス付き高齢者住宅(サ高住)

サービス付き高齢者向け住宅は民間企業が運営しており、介護施設ではなく住宅として扱われる住まいになります。外出や外泊もできるケースが多く、のんびりと老後を暮らしたい方に向いている施設だと言えるでしょう。

2011年に「地域包括ケアシステム」拡充の施策として創設され、年々増加傾向にあります。サ高住には「一般型」と「介護型」があり、一般型で介護を受ける場合は、外部事業者による居宅サービスの利用が必要です。

グループホーム

グループホームは民間企業やNPOが運営しており、要介護1以上かつ認知症の症状がある高齢者が入所する施設です。

グループホームは、認知症の方が5人から9人程度の少人数で共同生活をおこない「入浴や食事」「排せつなどの介助」を専門職員からサポートを受けながら共同生活をする施設になります。

介護施設の建築基準

介護施設の建築基準

介護施設は利用者の安全を守ることを第一に考え、以下の建築基準が設けられています。

建築基準法による必要設備

  • 部屋の広さ(定員)
  • 建築物の採光
  • 防火設備(耐火・準耐火構造を含む)
  • 廊下の幅

建築基準法では用途別に区切られており、介護施設によって決められた基準が異なるため注意が必要です。

部屋の広さは介護施設の種類によって異なります。

部屋の広さの基準

介護施設種類

部屋の広さ

有料老人ホーム

13㎡以上/1人

特別養護老人ホーム

10.65㎡以上/1人

サービス付き高齢者住宅25㎡以上/1人
グループホーム

7.43㎡以上/1人

建物の彩光は居室の床面積に対して、5分の1から10分の1までの範囲で、各自治体の政令で定める割合以上です。防火設備は火災時の対処として人の安全を守るだけではなく、建物の被害を最小限に抑えるために細かく定められています。

また、建てようとする地域の条例(防火地域・準防火地域など)によっても制限が加わるため確認が必要です。

廊下幅も介護施設の種類によって異なります。

介護施設種類

廊下幅

有料老人ホーム

2.7m(中廊下):1.8m(片廊下)

特別養護老人ホーム

2.7m(中廊下):1.8m(片廊下)

サービス付き高齢者住宅78cm(柱が存する部分は75cm)以上
グループホーム

両側に廊下がある場合:1.6m 以上

その他の廊下:1.2m

それぞれの介護施設の基準を確認しておきましょう。

介護施設の設備基準

介護施設の設備基準

介護施設では食堂や機能訓練室、静養室、事務室(相談室)などさまざまな設備がありますが、施設の種類や規模によって設備基準が設けられています。

また消火設備についても非常災害に際して、それぞれの施設に必要な設備、ならびに備品などを備えなければなりません。設備基準は介護施設の種類によって異なるため、しっかりと違いを把握しておきましょう。

特別養護老人ホーム

特別養護老人ホームに必要な各設備の基準は、以下のように定められています。

設備基準

  • 居室
  • 静養室
  • 浴室
  • 食堂(機能訓練室と同一の場合)
  • トイレ
  • 医務室
  • 調理室
  • 介護職員室・看護職員室
  • 機能訓練室

この中で居室と静養室、食堂、浴室、機能訓練室は3階以上には設けられません。

ただし下記が満たされている場合は3階以上への設置も可能です。

3階以上に設置するための条件

  • 居室や静養室などがある3階以上の各階に通ずる特別避難階段が2つ以上あること
  • 居室や静養室から、地上に通じる廊下や通路の壁、天井の室内に面する部分が不燃材料で仕上げられていること
  • 耐火構造の壁もしくは建築基準法によって防災上有効に区画されていること

構造によって設備基準が異なるため、しっかりと確認しておきましょう。

有料老人ホーム

有料老人ホームに必要な各設備の基準は、以下のように定められています。

設備基準

  • トイレ
  • 機能訓練室
  • 食堂
  • 浴室・脱衣室
  • 洗面台
  • 洗濯室
  • 汚物処理室
  • 宿直室
  • 健康・生きがい施設
  • 一般居室または介護居室(ナースコール完備)
  • 一時介護室
  • 医務室(または健康管理室)
  • 談話室(又は応接室)
  • 事務室
  • 介護・看護職員室
  • そのほか(ナースコールなど緊急通報装置等)
  • エレベーター

入居者の快適な生活のためにもこれらの基準を満たすことが必要です。

サービス付き高齢者住宅

サービス付き高齢者住宅に必要な各設備の基準は、以下のように定められています。

設備基準

  • 居室
  • 居間
  • 食堂
  • 台所
  • 水洗便所
  • 収納設備
  • 洗面設備
  • 浴室

※台所・収納設備・浴室は共同利用可

高齢者にふさわしい設備と、見守りサービス、契約に関する基準を満たすことが必要です。

グループホーム

グループホームに必要な各設備の基準は、以下のように定められています。

設備基準

  • 居室
  • 食堂
  • 台所
  • 便所
  • 洗面設備
  • 浴室

特別養護老人ホームと異なり、家庭的で落ち着いた環境を整えることが推奨されています。

介護施設の構造比較

介護施設の構造比較

建物構造は、建築コスト・建物の耐久性・管理のしやすさなど非常に重要な要素です。

各構造のメリットやデメリット、特徴をしっかり把握しておきましょう。

鉄骨鉄筋コンクリート造

鉄骨鉄筋コンクリート造は、鉄筋コンクリート造に用いられる素材に鉄骨を埋め込んだ構造です。

メリット・デメリット

メリット

・耐用年数が長い。(47年)

・耐久性が高い。

・柱や梁を小さくして、居住面積を広げることも可能。

デメリット

・材料費が高い。

・工事期間が長い。

・カビや結露が発生しやすい。

鉄骨鉄筋コンクリート造は鉄骨造と鉄筋コンクリート造の弱点を補った高性能の構造になります。

鉄筋コンクリート造

鉄筋コンクリート造は、鉄筋とコンクリートを組み合わせて固めた素材による構造です。

熱に弱く錆びやすい一方、引張力の強い鉄筋と熱に強い引張力の弱いコンクリートを一緒に使うことで、それぞれの弱点を補った強固な構造になります。

メリット

・耐用年数が長い。(47年)

・優れた耐久性や耐震性。

・機密性が高い。

・火災に強い。

デメリット

・建築コストが高い。

・地盤を強化する工事が必要。

・解体費用が高い。

重量鉄骨造

重量鉄骨造は厚さ6mm以上の鋼材を使った構造です。

軽量鉄骨よりも強度があるため、3階建て以上のマンションやビル、大型店舗などに用いられています。

メリット

・広い空間を確保できる。

・耐久性や耐震性が高い。

デメリット

・地盤補強工事にかかる費用が高い。

・軽量鉄骨に比べて、建築費用が高い。

軽量鉄骨造

軽量鉄骨造とは柱や梁(はり)などの建物の骨組みに、厚さ6mm未満の鋼材を使用した構造のことです。

建築現場で組み立てる「プレハブ工法」を用いるのが一般的で、2階建の戸建てやアパート、小型店舗に用いられることが多いです。

メリット

・大量生産により材料費を抑えられる。

・安定した品質。

・工期が短い。

デメリット

・高温になると強度が落ちて変形する。

・通気性や断熱性が悪い。

・カビや結露が発生しやすい。

木造

木造は建物の柱や梁などの主要な部分を木材で作った構造です。

戸建住宅やアパート、福祉施設に多く用いられており、戸建て住宅の92.5%は木造が占めています。

出典:平成 30 年住宅・土地統計調査

メリット

・材料費が安価。

・軽量かつ耐震性能が高い。

・通気性が高い。

デメリット

・耐用年数が短い。(22年)

・害虫被害を受ける可能性がある。

構造によってメリット・デメリットが異なるため、介護施設の種類によって使い分けが必要です。

快適な介護施設の建物

快適な介護施設の建物

一見どの介護施設も同じように見えるかもしれませんが、それぞれの介護施設に細かな違いがあり、快適な介護施設を作るには、設計から作り込むことが必要です。

3つの特徴

  • 安全性
  • デザイン性
  • 機能性

それぞれ解説します。

安全性

介護施設は入居者を守るうえで安全対策がしっかりとなされており、働くスタッフの動線もきちんと整えられています。消費者庁の令和3年のデータによると、高齢者の死亡事故件数で一番多いのが、転倒や転落です。

出典:消費者庁

フロアにはクッション性の高い塩ビ系の素材が使われているケースが多く、転倒事故を未然に防ぐことができ、万が一転倒した場合にも怪我のリスクを最大限抑えるための工夫がされています。

デザイン性

介護施設のデザインは、入居者の生活環境や心理的な健康に大きな影響を与える重要な要素になります。外観のデザインだけでなく、内装のデザインにもこだわることが必要です。

デザインに特徴を持たせることで、利用者のQOL(生活の質)の向上だけでなく、職員の満足度も向上します。

機能性

介護施設では、ユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、入居者の生活を考慮したバリアフリーな設備や配慮が行われています。手すりの高さの調節や段差のない床、見やすい表示などが重要なポイントです。

また共用スペースも入居者が使いやすいように配置されています。

まとめ

介護施設の建築まとめ

介護施設は建物の基準が細かく設定されています。介護施設の種類によって建築や設備の基準が異なるため、しっかりと把握しておくことが重要です。

建物の構造も多くの種類があるため、建築から開設までをワンストップで相談できるタカオにぜひご相談ください。

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