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グループホーム経営は儲からない?経営のタイプや費用などを徹底解説

グループホーム経営は儲からない?経営のタイプや費用などを徹底解説

「グループホームを開業して経営したいけど、初期費用はどれくらいかかるんだろう」

「経営する中で、しっかり収益が出るのか不安」と悩んでいる方は少なくないでしょう。

厚生労働省「障害者の居住支援について」によると、グループホームの利用者は年々増加し、令和3年2月実績では全国で14万人にも上ります。

国や自治体は、補助金や助成金を出しグループホームの整備を促進中です。補助金や助成金を活用すれば、費用を抑えてグループホームを経営できるでしょう。

本記事では、グループホームの経営タイプや費用などを解説いたします。グループホーム経営のメリットやデメリット、経営手順も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

グループホームとは?

グループホームは、大きく分けて「障がい者グループホーム」と「認知症高齢者グループホーム」の2種類があります。

グループホームを経営する上で、両者の違いを把握しておくのは重要です。それぞれどのような違いがあるのか、確認しましょう。

障がい者グループホーム

・知的、身体または精神障がいがある方の自立支援が目的のグループホーム

・建物1棟(ユニット)に2~10人単位で共同生活する

認知症高齢者グループホーム

・軽度認知症高齢者の症状進行を緩和させるためのグループホーム

・建物1棟(ユニット)に5~9人単位で共同生活する

 

どちらのグループホームも、スタッフによる支援を受けながら共同生活を送る施設です。しかし、目的や定員数に違いがある点を把握しておきましょう。

グループホーム経営は儲かる?

グループホームは、補助金や助成金など国の支援体制が整っているため、適切な経営が行われれば収益性を確保できます。

ここからは、グループホームの経営形態と収支モデル、収益について見ていきましょう。

グループホームの3つの経営形態

グループホームの経営形態は、借地方式・サブリース方式・自主方式の3種類です。

借地方式
・土地をグループホーム事業者に貸し、借地料を受け取る方式
・地主は土地を貸すのみで、建設や運営は事業者が行う
・建物建築や運営にかかる手間や投資が少ない
・収益は他の方式に比べて低め
サブリース方式
・ 地主が土地にグループホームを建設し、事業者に施設を貸す方式
・事業者は入居者から賃料を得て、地主に建物一棟分の賃料を支払う
・地主は建物建築の負担があるが、借地方式より高い賃料が見込める
・法令に基づいた適切な運営で高い稼働率が期待できる
自主方式
・土地の所有者が自ら事業者となり、すべての業務をする
・物件の建築から準備、営業活動、運営まで全てを担う
・運営にかかる賃料収入から、必要経費を差し引いた金額が利益となる
・最もコストがかかるが、利益が出た場合はすべて収受できる

これらの方式は、それぞれリスクとリターンが異なるため、経営者は自身の資金力、経験、リスク許容度に応じて選択してください。

グループホーム経営の収支内訳

続いては、建物を貸し出す経営形態と自営形態の収支内訳をお伝えします。建物賃貸による経営での支出は、土地管理費・保険料・税金・ローン利息がメインです。

一方、自営では人件費・施設管理費・水道光熱費などの支出が追加されます。

建物賃貸自営
収入・家賃

・家賃

・食費

・給付金

支出

・土地管理費

・税金

・保険料

・ローン利息

・施設管理費

・税金

・ローン利息

・人件費

・水道光熱費

・サービス事業費

・事務費

建物賃貸による経営では、施設管理費は借主である事業者が受け持ちます。

しかし、災害などによる外壁の損傷があれば、オーナーが修繕費を負担するのが一般的です。

グループホーム経営の収益

建物を貸し出す経営形態では年収約150万円、自営形態では年収約210万円です。計算結果は、あくまでもシミュレーションであり、実際の金額を保証するものではありません。

建物賃貸自営
収入・家賃:300万円

・家賃、食費:180万円

・給付金:1,560万円

※入居者6人想定

合計:1,740万円

支出

・土地管理費:12万円

・税金:20万円

・保険料:15万円

・ローン利息:95万円

合計:142万円

・施設管理費:120万円

・税金:20万円

・ローン利息:95万円

・人件費:840万円

・水道光熱費:70万円

・サービス事業費:380万円

合計:1,525万円

年収

158万円

(300万円−142万円)

215万円

(1,740万円−1,525万円)

実際の年収は、立地条件や施設規模、運営効率により変動します。

具体的な経営計画を立てる際は、専門家のアドバイスを受けましょう。

グループホーム経営の初期費用

グループホーム経営の初期費用には、約1億円かかります。

グループホーム一棟(ユニット)あたりの入居者は5〜9人で、それぞれ個室の完備、キッチンや食堂などの設備を導入しなければなりません。

さらに、次のような設備や機器も導入する必要があるでしょう。

スロープ
転倒防止柵
安全見守り機能

また、既存の建物をリフォームする場合は、更地から建築する場合と費用が異なります。一部屋あたりの費用を約100万円で見積もると良いでしょう。

いずれにしても、設備投資や入居者の人数などを考えると、約1億円と考えておくのがおすすめです。

グループホーム経営の費用を抑える方法

補助金・助成金の活用と減免措置により、グループホームの経営費用を抑えられます。

安定的に長く経営するために、どのような内容なのかを把握しましょう。

補助金・助成金

グループホームの建設費用には「補助金」、運営費用には「助成金」が給付されるのをご存知でしょうか。

厚生労働省の「社会福祉施設の整備・運営」によると、国からは施設整備費の50%、地方自治体からは25%の補助を受けられます。

各自治体に窓口が設けられているため、グループホーム経営時に相談すると良いでしょう。

<参考>社会福祉施設の整備・運営(厚生労働省)

減免措置

基本的に、社会福祉法人が所有する固定資産は非課税です。

東京都の場合、条例により100%減免措置の適用が受けられます。

減免措置は地域によって異なるため、詳細は自治体に確認してください。

<参考>地域のケア付き住まいに対する不動産取得税・固定資産税など-東京都

グループホーム経営のメリット

グループホーム経営のメリットは、以下の通りです。

安定した収入が期待できる
節税対策になる
社会貢献につながる

1つずつ見ていきましょう。

安定した収入が期待できる

グループホームでは、安定した収入が期待できます。

なぜなら、グループホームの入居者の退去率が低く、長期的に入居する方が多いからです。

一度入居が決まれば、数年〜数十年は入居し続けるため、長期にわたり収入が見込めます。

節税対策になる

所有している土地をグループホーム経営に活かすと、節税対策になります。

事業者に土地を貸し出すと、貸家建付地となり「小規模宅地等の特例」が適用され、固定資産税や相続税の節税になるのがメリットです。

社会貢献につながる

グループホーム経営は、社会貢献につながります。

グループホームは、一人暮らしが困難な方や、認知症を患っている方のための自立を支援する施設です。

日本では高齢化が進んでおり、グループホームの利用者が増加しています。しかし、供給が追いついていない現状があるため、グループホーム経営は社会的な需要に応えることになるでしょう。

グループホーム経営のデメリット

次に、グループホーム経営のデメリットをお伝えします。

施設の転用がしにくい
長期契約が基本である
競合の出現や市場の変化がある

デメリットを把握し、グループホーム経営で失敗しないように気をつけましょう。

施設の転用がしにくい

グループホーム用の建物を建てると、他の建物に転用するのは難しいでしょう。

なぜなら、グループホームは定められた設備基準・設置基準に合わせた設計をしているからです。

グループホームは、寮のような作りになっているため、アパートやマンションなど一般の賃貸住宅に用途変更しにくいのがデメリットと言えます。

長期契約が基本である

基本的に、グループホーム経営は長期契約です。

上記で説明した通り、グループホームは別の施設に転用しにくいと言われています。

そのため、事業が軌道に乗らず、長期契約の途中で解約すると、転用のための工事が必要になり余計なコストがかかるでしょう。

競合の出現や市場の変化がある

新たなグループホームが増えることで、競争が激化し、入居者の獲得が難しくなるかもしれません。

空室が続き経営が悪化しないよう、サービスの向上や特色あるプログラムの提供など、他のグループホームとの差別化に取り組みましょう。

グループホーム経営の7ステップ

最後に、グループホーム経営の7ステップを解説いたします。

法人を設立する
資金を確保する
市場調査をする
施設を確保する
申請書類を提出する
スタッフを確保する
利用者を集める


それでは、1つずつ見ていきましょう。

①法人を設立する

まずは、法人を設立します。

株式会社、合同会社、社会福祉法人、一般社団法人、NPO法人など法人格であれば、どれでも構いません。

②資金を確保する

次に、資金を確保します。

自己資金や金融機関からの融資、国や地方自治体の給付金を活用しましょう。

<関連記事>介護事業者が融資を受ける方法は?融資を受ける際のチェックポイントも解説

③市場調査をする

資金を確保したあとは、市場調査をします。

市場調査の具体例は、以下の通りです。

ターゲットの属性
ターゲットの人口動態
競合の数、サービス内容、料金形態
利用者やその家族のニーズ

市場調査は、グループホーム経営の成功に不可欠なステップのため、慎重に行うことをお勧めします。

④施設を確保する

続いて、施設を確保します。

グループホームは、利用者が地域社会とのつながりを持ちながら、自宅に近い環境で安心して生活できるように、住宅街の中や静かで落ち着ける場所に建設しましょう。

高齢者施設の土地活用方法に関する詳細やメリットなどは、下記の記事で解説しています。適切な土地活用の方法を理解できるため、ぜひご覧ください。

<関連記事>【土地をお持ちの方必見】高齢者施設の土地活用方法とは?メリットや向いている立地について解説

⑤申請書類を提出する

次に、申請書類を提出します。

開業に必要な書類は、以下の通りです。

法人登記簿謄本
事業計画書
施設の平面図
事務所の住所や人員配置について
従業員の勤務形態
管理者およびサービス管理責任者の経歴書や資格証明書
設備や備品一覧 など

必要な申請書類は、グループホームの建設予定地によって異なるため、最寄りの市町村役場や福祉事務所で事前に確認しましょう。

⑥スタッフを確保する

続いて、グループホーム経営のためのスタッフを確保します。

グループホームの人員基準は、利用者3名に対して介護職員を1名以上配置することが定められています。

その他に、管理者やサービス管理責任者、世話人、生活支援員などが必要です。

自身の経営する施設の大きさや種類に合わせて、必要なスタッフを確保しましょう。

<参考>認知症対応型共同生活介護(認知症グループホーム)について(厚生労働省)

⑦利用者を集める

ここまで準備できたら、最後に利用者を集めます。

ソーシャルワーカーや自治体の相談支援事業、特別支援学校、精神科で施設を紹介してもらうと、効率的に集客できます。

市場調査の際に、経営する施設を紹介してくれる場所を調べておくと良いでしょう。

    まとめ

    本記事では、グループホームの経営タイプや費用を解説しました。

    自分が経営するグループホームにかかる費用や収支モデルを把握し、安定的な経営を目指しましょう。

    また、福祉施設の新規開設には、不動産(土地)取得から施設建築等のハード面と、資金調達や行政機関への指定申請、スタッフ募集等のソフト面の両面での準備が不可欠です。

    タカオでは、建築・開設準備を総合的に確認できるようスケジュール表を作成し、開設までの全ての工程で様々なサポートをさせていただきます。お気軽にご相談ください。

     

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