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居抜きで介護施設を購入するメリット、デメリットは?注意点、優良物件の条件についても解説します!

居抜きで介護施設を購入するメリット、デメリットは?注意点、優良物件の条件についても解説します!


土地活用の一つとして介護施設の開業を検討する際、初期費用をできるだけ抑えたいと考える方は多いと思います。

開業後、早期の収益化を目指すためには初期費用をできるだけ抑えることのメリットは小さくありません。

そこで、今回は初期費用を抑えられるだけではなく、開業までの準備期間を短縮することができる「居抜き物件」についてご紹介したいと思います。

この記事では「居抜き物件」のメリット、デメリット、注意点についてまとめています。これから介護業界への参入を検討している方は是非ご参照ください。

介護保険施設の現状

急速に高齢化が進む日本では、介護保険施設の利用者数、事業所数は年々増加しています。厚生労働省のデータで実際の推移を見てみましょう。

介護保険施設サービス利用者数の推移

介護保険制度が創設された2000年(平成12年)と2022年(令和4年)を比較すると、施設サービスの利用者数は1.8倍(52万人→96万人)と倍近くになっています。

令和5年度版高齢社会白書(厚生労働省)P.79

介護保険施設数の推移

一例として、公的な老人ホームである「介護老人福祉施設(特養)」「介護老人保険施設(老健)」の施設数の推移をご紹介します。

2000年(平成12年)と2022年(令和4年)を比較すると、1.8倍(7,169→12,767)に増加しており、利用者数に合わせるように施設数も増加していることが分かります。

介護分野の最近の動向について(厚生労働省)

2040年には介護保険制度の要介護者(要支援者)数が988万人になるという推計も出ており、今後も介護保険施設の需要の高まりが想定されています。

介護施設の種類

介護施設は利用者が施設に通ったり、在宅で訪問サービスを受けたりする「施設型」建築物と、利用者が施設に居住してサービスを受ける「居住型」建築物の2つに分類されます。

・「施設型」建築物:デイサービス・小規模多機能型居宅介護など
・「居住型」建築物:介護老人福祉施設(特養)、介護老人保険施設(老健)、グループホームなど

介護施設の建設費用はいくら?

最初に、介護施設を建設するために必要な費用を確認していきましょう。この記事では必要な「敷地面積」と「平米単価」からおおよその費用を試算していますのでご参照ください。

介護施設建設に必要な敷地面積は?

介護施設の種類によって、必要とされる敷地面積が変わります。あくまでも基準値ですが、一般的に以下の広さが必要とされています。

・「施設型」建築物:100坪~300坪程度(約330平米~約991平米)
・「居住型」建築物:300坪~400坪程度(約991平米~約1,322平米)

介護施設建設の平米単価は?

独立行政法人福祉医療機構のレポート(2022年6月)によると、ユニット型特別養護老人ホームの建設費は平米単価「32万7,000円」、介護老人保健施設では「40万9,000円」と報告されています。

画像:2022年度 福祉・医療施設の建設費について(独立行政法人福祉医療機構)P.1、P.4

介護施設建設費の目安は?

上記データより「居住型(300坪)」建築物の場合、以下の建築費が掛かることが想定されます。

・「居住型」建築物:300坪(約991平米)

(例1)ユニット型特別養護老人ホーム:約991平米×32万7,000円=3億2,405万7,000円
(例2)介護老人保健施設:約991平米×40万9,000円=4億0,531万9,000円

土地購入費、建築費に占める割合が大部分を占めているため、物件の取得費用を抑えることが初期費用を少なくするための鍵となります。

この記事では、物件の取得費用を抑える方法として「居抜き物件」と「スケルトン物件」についてご紹介します。

居抜き物件とスケルトン物件

既存物件を利用する方法として「居抜き物件」と「スケルトン物件」があります。

居抜き物件とは?

「居抜き物件」とは、物件を契約する際に、前テナントが使っていたままの状態(パーテーションや床・壁・設備など)を新テナントが引継いで使用する物件のことを指します。

スケルトン物件とは?

一方、スケルトン物件はコンクリートや鉄骨などがむき出しになっている、内装が施されていない状態の物件のことを指します。ゼロから建設するよりも初期費用を抑えることができ、ある程度自由にレイアウトを決めることができます。

居抜き物件メリット

「居抜き物件」を選ぶメリットを5つご紹介します。

初期費用が安く抑えられる

既存の物件を引き継いで使用することで、建築工事にかかる費用を大幅に抑えることができます。

開業までの期間を短縮できる

開業までの準備期間を短縮できるため、早期の収益化が見込めます。

立地が良い

サービスの需要がある立地であることがメリットの一つ。また、病院やスーパーなど生活に必要な周辺施設が整っている点もプラスポイントです。

利用者の確保

同じ種類の介護施設で営業を続ける場合、既存の利用者がいるため開業初期から一定の収入が見込めます。また、利用者の募集コスト(営業活動費、広告費など)が低減されます。

人材の確保

勤務経験のある従業員がいるため、人材を募集するための求人費、スキルアップのための研修費用、研修時間を節約することができます。

居抜き物件デメリット

「居抜き物件」を選択する際のデメリットについても確認していきましょう。

条件に合う物件数が少ない

介護施設の開業を検討しているエリアに、条件に合う物件がピンポイントで見つかる可能性は高いとは言えません。

たとえば、ご自身が居抜き物件を探しているタイミングで、ちょうど介護施設の経営者が譲渡を検討しているなど条件が合う必要があります。

内装工事や設備の交換が必要な場合がある

壁や床などの内装や水回り、ベッドや空調などの設備については、予め使用年数や状態を確認しておきましょう。経年劣化や故障により交換が必要な場合があります。

家電などについては修理、交換が可能な補償期間内であるかどうかも見逃せないポイントです。

また、施設の種別を変更する場合には、新しい施設に適応した仕様に変更するため、大規模なリフォームが必要となる可能性があります。相応の費用と時間が掛かる事を計画に入れておきましょう。

事業譲渡になった理由に注意が必要

前オーナーが「居抜き」で物件を譲渡(売却)する判断をした理由を必ず確認しましょう。

東京商工リサーチの調べによると、介護施設の倒産理由は「販売不振(売り上げ不振)」が最も多くなっています。

具体的には「大手事業者との競合」による利用者減少や「人手不足」によるサービス提供への影響などがあり、事業譲渡の原因を解決できるかどうか、慎重に検討を行う必要があります。

参考:2023年「老人福祉・介護事業」の倒産、休廃業・解散調査(東京商工リサーチ調べ)

居抜き物件の注意点

「居抜き物件」を契約する前に気をつける点として「契約後に事業譲渡になった理由を改善できるかどうか」という視点が大切になります。掘り下げて考えていきましょう。

具体的には「後継者不在」「経営難」「借入金」「収支計画」があります。一つずつ確認していきます。

後継者不在

後継者がいない場合です。大手事業所よりも小規模の介護施設で発生する可能性が高く、円滑な事業譲渡のためには介護施設管理者のノウハウを継承することが大切です。

介護施設経営者が高齢、病気を理由に事業継続が難しくなったというケースも少なくありません。

経営難

「近所に大手事業所の介護施設ができて、利用者が減った」「人材の採用が難しくなった」ことが原因で経営難に陥ることがあります。その地域で開業することで期待する収益を上げられるかどうか検討が必要です。

借入金

事業譲渡(売却)の要件として、借入金の引継ぎが契約に含まれているか、確認しましょう。金融機関や施設役員からの借り入れ金の引継ぎ(返済)が契約要件になっているという場合もありますので、契約要件にはご注意ください。

収支計画

債務超過による事業譲渡(売却)の場合、売上、収益については慎重に確認をしましょう。

どのような物件が狙い目?

次に狙い目の「居抜き物件」の条件を3つご紹介します。

利益が出ている

安定して利益が出ている介護施設が事業譲渡(売却)に出ている場合は、要チェックです。たとえばオーナーが高齢で事業継続が難しく、後継者がいないケースなどが該当します。

参考として、以下のような物件があります。

(例)売り上げ35億(年間)/利益2億円→希望売却価格5億円(老健)

(例)売り上げ5.1億(年間)/利益3,400万円→希望売却価格1.3億円(看護小規模多機能)

将来性がある

競合の事業所が少なく、利用者のニーズが継続的にある地域は将来的な収益が見込める可能性が高いです。

具体例として、以下のような事例が考えられます。

(例)推定利用者数(国民健康保険団体連合会のデータ)で需給ギャップがある。
(例)通所系サービスの利用が5割。今後の伸びしろがある。さらに介護施設を拡充する敷地がある。
(例)地域密着型の施設で、周辺住民からの知名度や評価が高い。

BCP対策が取られている

自然災害(地震、台風など)が発生した際のBCP対策(事業継続計画)が整えられていると利用者に安心感を与えます。特に高齢者にとって関心が高い感染症対策に力を入れているなど、特徴がある介護施設は利用者のご家族にも評価される傾向があります。

まとめ

「居抜き物件」は初期費用を削減できるだけでなく、開業までの期間を短縮できることから魅力的な物件です。

しかしながら、事業譲渡(売却)に至った原因を丁寧に確認し、収益化が見込めるかどうか情報を精査する必要があります。

「居抜き物件」の特徴をよく理解した上で、みなさまの希望条件に合う物件を探していきましょう。

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