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土地の遺産相続で知っておくべき基礎知識を徹底解説

土地の遺産相続で知っておくべき基礎知識を徹底解説

土地を遺産相続する可能性があるけれど、何をしていいのか分からなくて不安に感じていませんか?
土地は親族間で分割して遺産相続してしまうと、売却するときにトラブルになりやすいので、共有するのは避けたい財産です。また親が認知症になってからでは、有効な対策も打てなくなってしまうでしょう。
この記事では、土地を遺産相続する可能性がある人向けに、相続の流れや遺産分割の方法、相続税の計算方法や控除などについて解説します。土地を遺産相続することで親族間のトラブルを避けたい人、土地の相続手続きやその後の登記手続きをスムーズに進めたいという人は、ぜひ参考にしてください。

土地を相続する際の流れと必要な書類

相続税の申告書と不動産権利書

土地を相続する際は、以下のような流れで進めていきます。

1. 相続の発生
2. 遺言書有無の確認
3. 法定相続人の調査・確定
4. 相続財産の調査・確定
5. 遺産分割協議
6. 相続登記

各工程について詳しく解説します。

遺言書の有無を確認する

生前から遺言があることを知っていれば、相続に関する準備はできているでしょう。しかし遺言書には主に、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つがあり、自筆証書遺言は用意していても相続人に気づかれないことがあります。相続が発生したら、相続人は念のため被相続人が自筆証書遺言を遺していないか確認しましょう。もし自筆証書遺言を見つけたら、封は開けずに家庭裁判所で検認の請求が必要です。
なお令和2年7月より法務局が自筆証書遺言を保管してくれる制度がスタートしています。その場合、役所から遺言が存在していることを教えてくれる可能性があります。
また公正証書遺言を遺している場合は、公証役場で遺言検索が可能です。仮に遺言がなければ、相続人全員で遺産分割協議をして土地の所有者を決めることが必要になります。

相続人・相続財産の調査と確定

遺言書がない、あるいは遺言書に相続人が指定されていない場合、相続人を確定する必要があります。相続人が明らかに「配偶者と子どもだけ」というように分かりやすければ問題ありませんが、複雑になっているときは戸籍謄本などを確認して相続人の調査が必要です。
また遺産相続をした後に、新たに相続財産が見つかると、再度遺産分割協議が必要になる可能性もあります。保証債務などのマイナス財産がないか十分に確認をしましょう。

相続するか、相続放棄するかを判断

相続人は自己のために相続があったことを知ったときから3ヶ月以内に、単純承認、限定承認、相続放棄のいずれかを選択しなければなりません。この3ヶ月という期間のことを熟慮期間と言います。

単純承認

プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続する

限定承認

プラスの財産を限度に、マイナスの財産も相続する

相続放棄

相続財産の相続権の一切を放棄する


なお、熟慮期間中に限定承認や相続放棄の申述をしなかった場合や、相続財産の一部を隠したり、消費したりした場合も単純承認したとみなされます。

相続財産の評価

相続財産の評価は、相続開始時点の時価で評価されます。また、土地は路線価方式、あるいは倍率方式のどちらかで評価します。

路線価方式(主に市街地)

路線価が定められている地域は、路線価を使って評価額を計算します。

倍率方式

路線価が定められていない地域の評価方式。固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算します。

相続税の申告・納税

相続する財産が「相続税の基礎控除額」を超える場合は、相続税の申告・納税が必要です。相続財産の評価をした上で、相続税の申告・納税が必要か確認しましょう。

【相続税の基礎控除額の計算式】

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)


相続した財産が相続税の基礎控除額を超えない場合、申告・納税いずれも不要です。相続税の申告・納税の有無を確認し、遺産相続協議が完了すれば、相続登記手続きに入ります。

相続登記

管轄の法務局に必要書類を提出します。管轄法務局が最寄りにないときは、郵送やオンライン申請も可能です。
なお、相続登記の際は土地の固定資産税評価額×0.4%の登録免許税が必要です。登録免許税は、申請書に印紙を貼付して納税します。
登記申請後、おおよそ1週間から2週間で登記完了となります。

必要な書類

登記申請時に必要となる主な書類は以下の通りです。
● 登記申請書
● 相続関係説明図
● 戸籍等全部又は相続証明情報
● 遺産分割協議書(遺言があれば遺言書)
● 相続人全員の印鑑証明書
● 固定資産税の評価証明書

遺産相続における土地の分け方

土地の分け方イメージ分譲地

遺産相続における土地の分け方には、主に現物分割・換価分割・代償分割・共有分割の4つがあります。それぞれの分け方の概要、およびメリットとデメリットを解説します。

現物分割

土地は配偶者、車は息子のように、財産1つ1つに取得者を決定する方法です。相続で最も一般的に行なわれています。

現物分割のメリットとデメリット

現物分割は手続きが簡単です。しかし、相続人Aには不動産、相続人Bに車というような分割をする場合、公平な分割が難しいというデメリットがあります。

換価分割

相続財産を売却して、現金に換えて分割する方法です。

換価分割のメリットとデメリット

換価分割は、法定相続分通りに分割をしやすいというメリットがあります。しかし相続税の納付期限に間に合わせようと売り急いだ結果、不動産の売却価格が著しく下がる可能性があります。自社株など売却に不適当な財産には使えないといったデメリットもあります。

代償分割

他の相続人の持ち分を買い取り、単独で所有する方法です。例えば相続人が2人、相続財産が2,000万円の土地のみで、法定相続分が2分の1ずつの場合、片方の相続人が2,000万円で不動産を単独所有し、不動産を相続した人はもう片方の相続人に現金1,000万円を支払います。

代償分割のメリットとデメリット

代償分割はスムーズかつ、平等に遺産分割ができるというメリットがあります。しかし、代償金を支払う側は代償金を用意する必要があること、代償金の算定でトラブルになる可能性があるなどのデメリットがあります。

共有分割

相続人が複数いて、相続財産が不動産しかない場合など、現物分割が難しい場合があります。共有分割とは、こうした不動産などの分割が難しい財産を、複数の相続人で共有する形で相続する方法です。

共有分割のメリットとデメリット

共有分割は遺産分割の手間がかからないというメリットがあります。しかし共有分割をすると、用途が限られるため価値が低下する、後々売却時に処分しにくいなどのデメリットもあります。

相続税の計算方法

相続税計算

相続税の計算方法は以下の手順で進めていきます。

1. 相続財産の総額を計算する
2. 基礎控除額を差し引く
3. 法定相続人ごとの相続税額を計算する
4. 各人の相続税額から、適用できる税額控除分を差し引く
下記でそれぞれ詳しく解説していきます。

相続財産の総額を計算する

相続財産の総額は以下の計算式を使います。
(相続財産-非課税財産※1)+相続時精算課税制度にかる贈与財産)-債務および葬式費用+相続開始前3年以内の贈与
※1)非課税財産・・・生命保険の非課税枠や墓地・墓石・仏壇・神棚など

基礎控除額を差し引く

相続財産の総額から、基礎控除額を差し引きます。相続財産が5,000万円、法定相続人が2人であれば次のように計算をします。相続財産の総額から、基礎控除額を差し引いた金額を「課税遺産総額」と言います。

【基礎控除額】

3,000万円+(600×2(法定相続人の数))=4,200万円

5,000万円-4,200万円=課税遺産総額800万円

法定相続人ごとの相続税額を計算する

【例】課税遺産総額4,000万円、法定相続人が配偶者と子ども2人の場合
● 課税価格
配偶者:4,000万円×1/2=2,000万円
子どもA:4,000万円×1/2×1/2=1,000万円
子どもB:4,000万円×1/2×1/2=1,000万円


● 各人の相続税額
配偶者:2,000万円×10%=200万円
子どもA:1,000万円×10%=100万円
子どもB:1,000万円×10%=100万円
相続税の総額は400万円。

各人の相続税額から、適用できる税額控除分を差し引く

相続税の総額を、各相続人の実際の相続割合で按分します。
【例】上記の例より、配偶者が3,000万円、子が500万円ずつ遺産相続した場合
● 実際の相続税額
配偶者:400万円×3/4=300万円
子どもA:400万円×1/8=50万円
子どもB:400万円×1/8=50万円
各人の相続税額から、適用できる税額控除分があれば差し引きます。

主な税額控除

税額控除は次のようなものがあります。
● 配偶者控除
● 未成年者控除
● 相次相続控除
● 障害者控除

土地にかかる相続税を下げるには

相続税計算

土地にかかる相続税を下げる方法として、小規模宅地特例と配偶者控除を紹介します。それぞれ概要と要件を見ていきましょう。

小規模宅地特例

個人が相続などで取得した財産のうち、要件を満たした宅地等は、一定の面積まで土地の評価額を50%または80%減額できます。減額の対象となる宅地等の利用区分、限度面積、減額割合は以下の通りです。

相続開始の直前における宅地等の利用区分

要件

限度面積

減額される割合

被相続人等の事業の用に供されていた宅地等

貸付事業以外の事業用の宅地等

特定事業用宅地等

400㎡

80%

貸付事業用の宅地等

一定の法人に貸し付けられ、その法人の事業用の宅地(貸付事業を除く)

特定同族会社事業用宅地等

400㎡

80%

貸付事業用宅地等

200㎡

50%

一定の法人に貸し付けられ、その法人の貸付事業用の宅地等

貸付事業用宅地等

200㎡

50%

被相続人等の貸付事業用の宅地等

貸付事業用宅地等

200㎡

50%

被相続人等の居住の用に供されていた宅地等

特定居住用宅地等

330㎡

80%

出典:国税庁 No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)

配偶者控除

配偶者控除とは配偶者が相続する遺産額が、以下の金額のどちらか多い金額までは相続税がかからないという制度です。

● 1億6,000万円
● 配偶者の法定相続分想定額
ただし、申告までに遺産分割されていない場合、配偶者控除は利用できません。

土地を相続する際の注意点

注意点 相続税について

土地を相続することが分かったら、家族と事前に話し合い、信頼できる税理士を見つけておきましょう。話し合う内容や、信頼できる税理士を見つけるポイントについて解説します。

事前に話し合う

土地に関する相続は、上手に進めていかないと後でトラブルに発展しかねません。事前に話し合う機会は、親が認知症になる前に設け、なおかつ準備すべきこともあるのでなるべく早く始めることが大切です。

親が認知症になる前に話す

認知症を患った人は、判断能力がないとみなされ、契約行為等がすべて無効になる可能性があります。そのため、次のような相続対策ができなくなります。
● 不動産の管理や売却
● 預金口座の解約や引き出し
● 遺言書の作成
● 生命保険の加入や請求手続き
つまり親が認知症になると、土地の生前贈与などの対策がほとんどできなくなるので、そうなる前に十分話し合っておきましょう。

親族間で揉めないようにする

土地を共有分割したような場合、いざ売却しようとしても親族間で意見が合わずいつまでたっても売却ができないことがあります。特に相続財産が土地のような不動産しかないときは、生前に十分親族の理解を得ておくこと、代償分割や換価分割の準備をしておくなどの対策を立てておきましょう。
土地を相続するときは、基本的に共有は避けましょう。共有名義にすると、売却時に共有者全員の同意を得た上で署名押印が必要になるなど、手間がかかります。また、登記名義に複数の人が入っている土地は、買い手にあまり好まれない傾向があります。
高齢の人を所有者や共有者とすることも、売却前に認知症や死亡する可能性が高いので避けた方が良いでしょう。

税理士に相談する際は実務経験を見る

相続税の税額は、税理士次第で大きく変わると言われています。税理士によって得意分野が異なるため、相続に関する案件は扱っていない税理士に出会うケースもあるでしょう。
土地の相続に関する相談ができる税理士を探すときは、公式ホームページなどで実績件数を公表している税理士を探すか、電話での問い合わせのときに、実績件数などを確認してみることをおすすめします。

まとめ

チェックポイント

遺産相続における土地の分け方としては、主に現物分割・換価分割・代償分割・共有分割の4つの方法があります。しかし、土地を共有すると、親族間のトラブルに発展する可能性が高いので、共有しないように十分、生前に対策を立てておく必要があります。相続が発生してから慌てることがないように、親族間で十分に話し合い、信頼できる税理士を見つけておくと安心です。
土地の遺産相続に伴い、土地活用を検討している人は、タカオへご相談ください。

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