空いている土地を活用したいけれど、どうすればいいんだろう――土地活用を考えているものの、実際にどう動けばいいのか悩んでいる土地オーナーは多いはず。まずは土地活用のプロに相談するのが近道ですが、どこに相談すればいいのか…という問題もあるでしょう。
いくつもの職種が挙げられますが、それぞれに強みや持ち味が違います。自身にとって最適な相談先はどこなのかを見ていきましょう。
土地活用にはプロの助言が不可欠
土地活用といえば、まず思い浮かぶのがアパート・マンション経営です。しかし、何の知識もなく始められるものではありません。そのため、「土地を相続したけれど、どうしたらいいんだろう?」と、頭を抱える土地オーナーは多いでしょう。
土地は、所有しているだけで課税対象です。何もせず放置しておけば、税金ばかりが取られていくことになります。どのような方法をとるにせよ、まずは専門家に相談し、アドバイスを受けることが肝心です。
土地活用には、さまざまな側面がある
手持ちの土地をどのように活用するのがベストなのかは、一概にはいえません。その土地の条件次第で、どのような方法が最適なのかを総合的に考える必要があります。
では、土地を活用するにあたって、どのような条件を見ていくのかをご紹介しましょう。
立地と周辺環境
まず大切なのは、その土地の立地や周辺環境です。具体的には、次のような条件を見ていきます。
- 敷地面積
- 整形された土地か、変形地か
- 住宅地か、商業地か
- 駅やバス停からの距離
- 道路に面しているか、奥まった場所か
- 人通りや車の交通量
- 騒音レベル
- 日照
これらは土地活用において、最初にチェックすべき項目。
表通りから離れた住宅地なら賃貸住宅がいいでしょうし、工場が立ち並ぶエリアなら貸倉庫や駐車場がいいかもしれません。立地と周辺の環境によって、有効な活用方法は変わってくるのです。
コストと収益性
次に、土地活用にあたって、コストと収益性のバランスを検討することが必要です。
・コストをかけずにできる
駐車場、レンタル農園 ⇒ 収益性が低く、税制面でもメリットが少ない
・それなりのコストが必要
賃貸マンション、商業施設 ⇒ 高収益、税制面でのメリットも大きい
どの程度の収益を得られるかを、精密に予測することが重要です。また、初期投資を借入れでまかなうのであれば、事業計画書や返済計画を作った上で、金融機関との交渉が必要になります。
税制・法律
土地活用には、収益化だけでなく税金対策の側面もあります。そのため、土地活用をすることで、固定資産税や相続税がどの程度抑えられるのかも検証し、活用方法を選ぶことが大切です。
また、法律や都道府県の定めた条例によって、建築に制限がかけられているエリアもあります。例えば、「市街化調整区域」では建物の建築が制限されており、自治体の許可なく自由に建物を建てることができません。
土地活用においては、こうした知識も必要不可欠になります。
土地活用の目的と優先順位を決めておこう
土地活用にはさまざまな要素がからみ合いますが、まず何よりも重要なのは、土地オーナー自身が「その土地を使って何をしたいのか」です。
収益を最大化したいのか、低コストで活用したいのか、税金対策を優先したいのか――それ次第で、土地活用の方法は変わってきます。
さらに、例えば賃貸住宅に活用することを選ぶ場合は、そこから「マンションが難しいなら、アパートでもいいかな」など、優先順位をつけておきたいところ。
土地活用のプロに相談するにあたっても、目的を明確にしてから臨むことで、スムーズに進められるでしょう。
土地の活用方法を相談するにはどこがいい?
続いては、土地の活用方法を相談できる、相談先をご紹介しましょう。それぞれ得手・不得手があり、無料相談OKというところもあれば、そうでないところもあります。
どこを選ぶにしても、土地活用の経験が豊富であるかはチェックしましょう。
不動産会社・不動産管理会社
地元の不動産会社であれば、その地域の事情に詳しいのが強み。賃貸物件の需要や賃料の相場については、立地や環境を踏まえた正確で現実的な情報を把握しているはずです。また、不動産関連の法律にも詳しいので、そちらのアドバイスも得られるでしょう。
ただ、不動産業は基本的に仲介手数料を得るビジネスなので、賃貸物件以外の土地活用についての詳しい情報は得られない可能性が高いです。
税理士
税制のスペシャリストが税理士です。土地活用による節税効果やその方法について、詳しいアドバイスを得られるでしょう。
土地活用では、固定資産税や譲渡所得税、相続税など、多くの税金が複雑に関係してきます。それらを踏まえて、どうすれば節税効果を高められるかは、税理士であれば正確な見極めが可能です。
一方、建築・設計や賃料設定などに関しては、税理士の専門外ですから、そうした相談相手は別に見つける必要があります。
弁護士
税理士が税制の専門家なら、法律の専門家が弁護士です。各種法規に精通しており、登記などの手続きも代行してくれます。
また、賃貸物件を建てた場合の契約書の作成や契約そのものの取り交わし、入居者のトラブルへの対応、立ち退き問題など、さまざまな問題について相談でき、解決をゆだねることができるのも弁護士の強みです。
ただし、弁護士はあくまで法律の専門家ですから、「この土地に適した活用方法は何か」といった相談には対応できないかもしれません。
ファイナンシャルプランナー
資産運用の専門家であるファイナンシャルプランナー。土地建物だけでなく、現金や有価証券なども含めた、資産全体の運用についてのアドバイスを得られます。老後の生活資金や相続まで見越した上で、手持ちの資産をどのように運用していくか、長期的な視点から総合的にプランニングできるのが強みです。
とはいえ、決して土地活用の専門家ではありませんから、その土地にフィットした活用方法の選択や、関連法規などについては弱いといえます。
金融機関
多くの銀行では、店内にカウンターを設け、資産運用の相談を受けています。もちろん、銀行のスタッフが全員土地活用の専門家ではありませんが、初期投資のための融資の相談をできるというのは、金融機関の大きな利点でしょう。
ただし、不動産業者が仲介手数料ビジネスであるように、金融機関は「融資を行い、金利を得る」というのが基本です。そのため、「できるだけコストをかけずに土地活用をしたい」といった相談は、受けつけてくれないと考えられます。
土地活用専門会社
土地活用専門会社は、土地活用のコンサルティングを専門に行う会社です。土地活用に関して、広範な知識を持っているのが最大の特徴。また、不動産や建築、金融など、各業界とのパイプを持ち、弁護士や税理士といった士業とも連携していることが多いため、状況に応じて専門家のアドバイスやサポートを受けられるのが強みです。
実績が豊富であれば、変形地や狭小地など、活用が難しい土地であっても、最適な活用方法を提案できるというメリットもあります。
建築・建設会社
建築・建設会社は、自社の経験や知識を活かして、土地活用のコンサルティングを行っているケースがあります。これは、土地活用専門会社と同様に、各分野との太いパイプを持っているだけでなく、その土地に合わせた最適な提案が期待できるのが最大のメリット。もちろん、建物を建てる場合には、設計から建築まで、すべて任せられるのも強みです。
「できるだけ多くの選択肢を見せてもらって、その中からベストの提案を受けたい」という場合には、心強い相談相手でしょう。
信頼できる相談先を見つけ、まずは相談を
土地活用には、不動産や建築、税制など、多くの知識が必要になります。個人ですべてを検討するには限界がありますので、土地活用のプロフェッショナルに相談するのが近道でしょう。
特に、土地活用にまつわる包括的な相談をしたい場合は、建設業や不動産業を基盤とした会社であれば、希望するサポートが期待できます。スムーズに土地活用を進めて、早めに収益化するためにも、一度相談してみてはいかがでしょうか。