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障害者施設の設立に必要な資格とは?設立するためのステップを徹底解説

障害者施設の設立に必要な資格とは?設立するためのステップを徹底解説

近年、需要が高まりつつある「障害者施設」を設立したいと考えている方もいるのではないでしょうか?

日本の障害者数は年々増加しているため、今後も障害者施設が無くなることはないでしょう。

しかし、「どのような手順で設立すべきか分からない」という方もいるかもしれません。

そこで、この記事では、障害者施設を設立するためのステップを解説しています。
障害者施設の設立に必要な資格も併せて紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

そもそも障害者施設とは?

障害者施設はあくまでも総称であり、実際に開業するのは何かしらの障害福祉サービスです。
「障害者施設」というサービスは存在しないことを把握しておきましょう。

これを踏まえて、「障害者総合支援法」と「児童福祉法」にもとづく2種類の障害者施設を紹介します。

障害者総合支援法にもとづく障害者施設
・ 居宅介護(ホームヘルプ)
・ 重度訪問介護
・ 同行援護
・ 行動援護
・ 療養介護
・ 生活介護
・ 短期入所(ショートステイ)
・ 重度障害者等包括支援
・ 施設入所支援
・ 自立訓練(機能訓練)
・ 自立訓練(生活訓練)
・ 就労移行支援
・ 就労継続支援A型
・ 就労継続支援B型
・ 就労定着支援
・ 自立生活援助
・ 共同生活援助
児童福祉法にもとづく障害者施設
・ 障害児相談支援
・ 児童発達支援
・ 医療型児童発達支援
・ 放課後等デイサービス
・ 居宅訪問型児童発達支援
・ 保育所等訪問支援
・ 福祉型障害児入所施設
・ 医療型障害児入所施設

これらは、1つだけではなく複数併設することもできます。

設立する施設により適用される法律が異なるため、「障害者総合支援法」「児童福祉法」のどちらにも目を通しておくのがおすすめです。

障害者施設の開業資金

障害者施設を設立する際に気になるのは、開業資金です。
必要な開業資金は施設によりさまざまなため、今回は、就労継続支援A型・B型、就労移行支援、放課後等デイサービス、障害者グループホーム、訪問サービスに分けて解説します。

障害者施設概要開業資金の目安
就労継続支援A型・B型・一般企業に雇用されるのが困難な方に就労の機会を提供する。
・雇用契約を結ぶのがA型。
・雇用契約を結ばないのがB型。
1,000万円
就労移行支援・一般企業への就職を目指す障害者を対象に、就職に必要な知識やスキル向上をサポートをする。600万円
放課後等デイサービス・障害がある小学生・中学生・高校生(6歳〜18歳)の子どもが対象。
・授業の終了後または休業日に、生活能力の向上のために必要な訓練の実施や社会との交流を促進するのが目的。
400万円
障害者グループホーム・障害のある方が必要な支援を受けながら、共同生活する住まい。1,000万円
訪問サービス・障害のある方が在宅での生活が続けられるよう支援する。700万円


就労系と比べると、放課後等デイサービスはパソコンなどの導入台数が少なくて済んだり、それほど広い床面積を確保する必要がなかったりするため、開業資金は抑えられています。

一方、障害者グループホームは部屋数が多い方が収益効率が良くなるため、広めの土地を借りている場合が多いです。
そのため、開業資金が高くなる傾向があります。

障害者施設の設立で使える補助金・助成金

このように、障害者施設の設立にはある程度の資金が必要です。
しかし、補助金や助成金を活用することで、開業資金を抑えられます。

⚫️障害者(児)施設整備費補助事業
⚫️障害者作業施設設置等助成金
⚫️障害者福祉施設設置等助成金
⚫️重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金
⚫️福祉住宅・福祉小規模集合住宅 バリアフリー建築助成
⚫️社会福祉法人助成事業・NPO法人助成事業

今回は、以上の補助金・助成金について紹介していきます。

障害者(児)施設整備費補助事業
対象事業主社会福祉法人、NPO法人等、補助対象事業をする事業者
助成対象創設:新たに施設を整備すること
助成額令和7年度 障害者(児)施設整備費補助事業について制度概要P.8~参照
障害者作業施設設置等助成金
対象事業主障害者を労働者として雇い入れるか継続して雇用する事業所の事業主
助成対象「作業施設」「附帯施設」「作業設備」の3種類
助成額

【第1種作業施設設置等助成金(設置・整備)】
・支給対象障害者1人あたり450万円
・作業設備においては、支給対象障害者1人あたり150万円
・同一事業所あたりの年間限度額は4,500万円

【第2種作業施設設置等助成金(賃借):支給期間3年間】
・支給対象障害者1人あたり月13万円
・作業設備においては、支給対象障害者1人あたり月5万円

※どちらの場合も、対象費用の2/3の金額または、上記の支給限度額のいずれか低い額が助成される。

障害者福祉施設設置等助成金
対象事業主

・支給対象障害者の福祉の増進を図るための福祉施設の設置または整備をする事業主等

・認定申請日以前1年間に、障害者を事業主都合により解雇しておらず、障害者の雇用の安定について努力していると認められる事業主等

助成対象1.保健施設(保健室、洗面所、休憩室)
2.給食施設(食堂)
3.その他、これらに類する建物
4.1〜3に該当する施設に附帯し、当該施設を利用しやすくするために配慮された玄関、廊下、階段、トイレ等の施設
5.支給対象障害者の福祉の増進を図るために必要となる1〜4に該当する施設の付属設備
助成額

・対象障害者1人あたり225万円
・同一事業所または同一事業主の年間限度額は2,250万円

※対象費用の1/3の金額または、上記支給限度額のいずれか低い額が助成される。

重度障害者多数雇用事業所施設設置等助成金
対象事業主重度身体障害者、知的障害者または精神障害者を労働者として多数継続して雇用し、安定した雇用を継続できると認められる事業主
助成対象1.労働者の作業施設
2.事業を管理するための施設
3.保健施設、給食施設、職業訓練施設などの福祉施設
4.作業施設、管理施設、福祉施設の目的を達成するための設備または備品
助成額5,000万円が限度
福祉住宅・福祉小規模集合住宅 バリアフリー建築助成
対象事業主高齢者や障害者が生涯安心して暮らせる住宅の新築やリフォームした建築主
助成対象階段昇降機、段差解消機、各種スロープ、スマートトイレなど
助成額30万円が限度
社会福祉法人助成事業・NPO法人助成事業
対象事業主福祉の増進を目的として運営している社会福祉法人およびNPO法人
助成対象利用者のために必要な機器・車輌・建物(新築、改修、増改築)等
助成額・社会福祉法人:80万~5000万
・NPO法人:50万円~700万円

都道府県独自の補助金や助成金を出している場合があるため、障害者施設を設立する際には、各都道府県の高齢・障害者窓口サービス課に問い合わせましょう。

障害者施設を設立するまでのステップ

障害者施設は、手順を間違うと設立できません。

⚫️起業準備をする
⚫️事業計画を作成する
⚫️法人を設立する
⚫️設備基準を満たす
⚫️人員基準を満たす
⚫️運営基準を満たす
⚫️指定申請をする
⚫️営業を開始する

この章で、設立するまでの正しい手順を学びましょう。

起業準備をする

障害者施設を設立するには、事前準備が大切です。
どのような障害福祉サービスを提供すべきか、しっかりと考えましょう。

他にも、障害者施設の場所や規模、同業他社などについても情報を集めてください。
事前調査を念入りにすることで、失敗するリスクを軽減できます。

事業計画を作成する

次に、事業計画を作成しましょう。
事業計画には、具体的な支援内容や目標、運営方針などが含まれます。

事業計画の作成は必須ではありません。
しかし、障害者施設を設立する際の申請で提出する場合があったり、融資を受ける際に必要になったりするため、事前に作成するのがおすすめです。

また、複数人で障害者施設を設立するのであれば、事業計画を通して関係者全員で共通認識を持っておきましょう。

法人を設立する

障害者施設の開業申請は、法人しかできないため、必ず法人を設立しましょう。

株式会社、合同会社、社会福祉法人や特定非営利活動法人(NPO法人)など、事業に合った法人を設立してください。

開業する法人が決定したあとは、書類作成をして法務局に法人登記します。

法人登記に関しては、法務省のホームページを確認しましょう。
<参考>法務省 商業・法人登記申請手続

設備基準を満たす

障害者施設を設立するには、法律上定められた広さや設備を備えなければなりません。
場合により内装をリフォームする必要があるため、設立までの準備期間に余裕を持っておきましょう。

設備基準に関しては、以下の記事を参考にしてください。

<関連記事>介護施設の建物の特徴とは?基準や構造を完全解説!

人員基準を満たす

設立する障害者施設の種類により、人員基準は異なります。
保有する資格や、業務の経験年数が厳しく定められている場合があるため、厚生労働省のホームページなどで必ず確認してください。

<関連記事>介護施設経営にはどんなスタッフが必要?業務内容や確保するためのポイントを解説

運営基準を満たす

設備基準、人員基準とともに重要なのが、運営基準です。
利用定員やサービス内容はもちろん、緊急時における体制の整備などをしなければいけません。

運営基準は事業形態ごとに定められているため、厚生労働省のホームページを確認しておきましょう。

指定申請をする

次に行なうのが、都道府県や市町村に対する指定申請です。
障害者施設は、自由に設立してはなりません。必ず指定申請の手続きをしましょう。

指定申請に必要となる書類例は、以下の通りです。

⚫️指定申請書
⚫️指定に係る記載事項【付表】
⚫️位置図、住宅地図
⚫️配置図
⚫️平面図
⚫️建物の外観および内部の写真
⚫️他法令遵守の確認票
⚫️設備、備品等一覧表
⚫️管理者経歴書やサービス管理責任者経歴書
⚫️事業計画書

提出すべき指定申請書類は、各自治体のホームページで確認してください。

基本的に、申請手続きは事前に予約してから、都道府県や市町村の担当者に提出します。
指定申請書類の提出後、審査に必要な期間は約1ヶ月です。

ただし、提出書類の内容や必要となる資料等の提出状況により変動する場合があるのを把握しておきましょう。

営業を開始する

無事に申請が通れば、指定通知書が発行されます。
ただし、指定された日付になるまで開業してはなりません。

指定日まで営業はできませんが、契約書・利用規約の作成やスタッフの育成、障害者施設の情報公開などは可能です。
ただ何もせずに待っているのではなく、時間を効率的に使いましょう。

障害者施設の設立に必要や資格や免許

結論からいうと、特定の資格や免許がなくても障害者施設は設立できます。
しかし、施設管理者には「社会福祉主事任用資格」または「社会福祉事業に2年以上従事した者」という要件があります。

それぞれ、どのような内容なのか紹介します。

社会福祉主事任用資格・社会福祉分野で一定の知識と経験を有することを証明する資格。
・厚生労働省が指定する社会福祉に関する科目を3科目以上履修し、修了試験に合格すれば取得可能。
社会福祉事業に2年以上従事した者・社会福祉分野で2年以上、社会福祉主事任用資格を有する者と同等の業務に従事した者。

また、居宅介護・重度訪問介護・同行援護・行動援護・重度障害者等包括支援を除き、障害者施設には、サービス管理責任者を配置しなければなりません。

<出典>サービスに係る自立支援給付等の体系 厚生労働省

サービス管理責任者の概要は、以下の通りです。

サービス管理責任者・利用者ごとに個別支援計画を作成し、その計画に沿って各サービスが効果的に提供されるよう調整する役割を持つ。
・厚生労働省が定めた約6か月の研修を修了すれば、サービス提供責任者として認定される。

つまり、障害者施設の管理者になるには条件がありますが、設立するだけであれば特別な資格は必要ありません。

もし、設立するだけではなく管理者になりたい場合は、上記の資格を取得しましょう。

<関連リンク>:障害者グループホーム経営に必要な資格や費用・資金調達方法を解説

まとめ

この記事では、障害者施設を設立するためのステップを設立に必要な資格と併せて解説しました。

障害者施設の設立への正しいステップや必要な手続きや資格、開業に必要な資金、活用できる補助金・助成金を理解した上で、障害者施設を設立しましょう。

土地活用として障害者施設の設立を検討している方は、創業45年以上の経験とノウハウをもつ「タカオ」にぜひご相談ください。

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