所有する土地がただ遊んでいるだけの場合、あるだけで管理の手間やコストがかかりますが、活用すれば税制面で有利になり、安定収益をもたらしてくれます。さまざまな土地活用の事例から、自分に合ったベストな活用方法を見つけましょう。
空いている土地は積極的に活用すべき!事例に学ぶ活用方法
思いがけず相続した農地や、遠方にある実家の跡地など、活用方法が見いだせないまま持て余している土地はありませんか?
所有する土地がただ遊んでいるだけの場合、そこにあるだけで管理の手間やコストがかかるやっかいな代物ですが、上手に活用すれば税制面で有利になる上、安定した収益をもたらしてくれます。
さまざまな土地活用の事例から、自分に合ったベストな活用方法を見つけましょう。
土地を遊ばせておくと損をすることが多い
相続したものの使い道が見つからない、農業をやめた後の農地を使う予定がないといった理由で、何も利用されずただ遊んでいるだけの土地を「遊休地」といいます。
遊休地には、さまざまなデメリットがあります。主なものを見ていきましょう。
所有することによって税金が発生する
土地を所有していると、固定資産税の納税義務が発生します。また、すでに市街地になっている区域、もしくは10年以内に優先的かつ計画的に市街地化することが定められている区域に所有する土地がある場合は、都市計画税も納めなくてはなりません。
つまり、収益が生まれないまま、毎年大きなマイナスだけが生じ続けることになります。
更地のまま所有していると税金が高くなる
固定資産税と都市計画税は、立地や広さなどから算出される土地の評価額に税率を掛け合わせて求められます。税率は自治体によって異なるものの、標準税率は固定資産税が1.4%、都市計画税が0.3%であり、決して安い額とはいえません。
ただし、土地が更地でなく建物が立っていれば、「住宅用地の特例」が適用されて減税対象に。何らかの形で活用することで、節税ができます。
不法投棄や不法侵入などの管理責任を問われる
使用目的のない遊休地は、税金さえ払っていれば放置していても構わない…わけではありません。
実際には、遊休地の所有者は定期的に土地を確認し、管理する必要があります。手入れされていない土地は荒れ、不法投棄されたり、誰かが住みついたりと、さまざまなリスクがあるからです。何か問題が起きれば、所有者が責任を問われることになるでしょう。
草むしりや害虫の予防など、土地の維持管理には意外と手間とコストがかかるもの。遠方の場合は、交通費もかさみます。
売却のタイミングを逃すと価値が下がる
そもそも、遊休地になっている土地は、使い勝手が悪いからこそ放置されていることがほとんど。幹線道路が通る、新駅ができるなど、劇的な再開発が行われる場合を除いて、飛躍的な資産価値の向上は望みにくいのが現実です。
遊休地の価値は時間の経過とともに低下すると考え、早めに手を打つことが大切です。
遊休地はこうして活用する!成功事例3選
遊休地のデメリットを解決するヒントとして、土地活用の成功事例とそのメリットを3つご紹介します。
成功事例1 グループホームを建て貸しする
遊休地の活用方法に、障害のある方や高齢者が介護を受けながら共同生活を行う、「グループホーム」を建てて貸す方法があります。
<メリット>
・立地条件が悪くても活用できる
土地活用と聞いて、最初に賃貸アパートやマンションの経営を思い浮かべる人は多いでしょう。
しかし、賃貸マンションやアパートは、駅からの距離や利便性の高さなどが重要であり、遊休地では十分な集客を実現できない場合があります。
その点、グループホームは入居後の環境が何より重視されるため、一般的に立地条件が悪いとされる土地でも活用できる可能性が高いです。
・初期投資を抑えて収益性を高められる
入居者の自立を目指すグループホームの需要は高く、空室リスクが少ない上、退去が少ないのが特徴。
オーナーが建物を建てて事業者に貸し、毎月の賃貸料に加えて地代を受け取る「建て貸し」にすることで、長期的に安定した収入が見込めます。
なお、グループホームで重要なのは、経営が安定していてサービスの質が高い、信頼できる事業者を選ぶこと。専門知識のないオーナーが独断で選ぶのはリスクが高いため、プロにマッチングを依頼すると安心です。
成功事例2 土地のみを貸し、商業施設を誘致する
期限を決めて土地だけを貸し、施設を建設・運営する事業者から毎月地代を受け取る「事業用定期借地権」
を活用し、利益を得ていきます。飲食店やコンビニ、ドラッグストアといった商業施設を誘致することが多いでしょう。
なお、土地の価値を見込んだテナントがオーナーに建設協力金を預託し、オーナー名義で建物を建てて貸す「リースバック」と呼ばれる方法もあります。
<メリット>
・初期投資を抑えられる
事業用定期借地権の場合、オーナーが貸すのは土地のみ。建物は事業者が建てるため、初期投資を抑えて土地活用をスタートできます。
・契約満了時の解体費用がかからない
契約期間満了後は、事業者が更地にしてからオーナーに返還するため、建物の解体コストがかかりません。
契約期間内に必ず土地が返却される事業用定期借地権は、エリアのニーズに合った土地活用を柔軟に試せる仕組みです。「今、求められている施設」を誘致し、契約満了後は新たな活用方法を検討しましょう。
なお、リースバックは収益性が高い方法ですが、建物が残るため、新たなテナントの誘致が難しいというデメリットもあります。
エリアに合ったテナントの選別や、事業用定期借地権とリースバックのどちらが適しているかの判断には、プロのアドバイスが有効です。
成功事例3 土地を売却する
単純に土地を売却するという、遊休地の活用方法もあります。
<メリット>
・すぐにまとまった収入が得られる
長期的な収益よりも、まとめて現金化したいときには、売却が適しています。
・生前整理できる
生前整理など、相続する人がいない不動産の処分が目的の場合も、売却を検討することが多いでしょう。
固定資産税を支払いたくない場合にも売却の選択肢は有効ですが、うまく活用できれば支払う税金以上の収益を見込める可能性があります。「利用価値がない」と決めつけず、客観的な査定を受けてから判断しましょう。
こんなやり方はNG…土地活用の失敗事例
次に、土地活用でよくある失敗事例について見ていきましょう。
賃貸経営を始めたが、入居者が集まらない
賃貸経営で最もよくあるのが、思うように集客できず空室が出る事例です。収益を生まない空室が増えれば、当初の利回りの計画が崩れかねません。
商業施設を建てたが、中途解約されてしまった
テナント契約の失敗事例で散見されるのが、事業者の経営状況が悪く、契約期間中に解約されてしまうというもの。これは、マーケティングが甘い場合に多いといえます。
駐車場にしたものの、収益が上がらない
初期費用を抑えられるのがメリットの駐車場経営。しかし、車通りや周辺環境など、立地条件と市場のニーズを見誤ると、まったく収益が上がらないことがあります。
トランクルームにしたら、近隣住民からの反発が強い
トランクルームは、住宅が狭小化する都心などで少しずつ知られるようになっていますが、一般的にはまだなじみが薄いもの。
そのため、周辺住民から「景観を乱す」「耐震性が不安」といった反対に遭い、運営が難しくなることがあります。
土地活用で失敗しないために
土地活用を成功へ導くために、知っておきたいポイントを整理しておきましょう。
リターンとリスクの把握
土地活用を含めた投資には、リターンがあればリスクもあって当然。想定より儲かりそうな利回りの話は魅力的ですが、評価は客観的に、冷静に行いましょう。
事前調査を実施する
土地活用は、事前の市場調査が大きなカギを握っています。立地や周辺の競合施設、住民の傾向などを踏まえて、活用方法を決めることが大切です。
自分だけで完結せず、プロに相談しよう
十分な経験がない限り、土地活用で利益を出すのは難しいもの。初めて土地活用にチャレンジする場合、一人ですべてやろうとせず、プロに頼りましょう。
頼れるパートナーを見つけて、上手に土地活用を
税金だけかかって使い道がない遊休地も、プロの目で見ればさまざまな活用方法が見つかります。自分の土地にマッチした活用方法を探して、マイナスをプラスに転じましょう。
遊休地の活用に悩んだら、土地に関するノウハウが豊富で、エリアの特徴を熟知したプロのサポートを受けることをおすすめします。